ブッポウソウ目

ブッポウソウ目：多様な鳥たちの世界

ブッポウソウ目(Coraciiformes)は、南極を除く世界各地に生息する鳥類の一目です。鮮やかな色彩を持つ種類が多く、その多様性は非常に魅力的です。かつては11科もの分類群が含まれていましたが、近年の分子系統学的研究による分類体系の見直しを経て、現在では6科に分類されています。この見直しには、いくつかの科の格上げや、他の目に分類されていた鳥類の移動などが含まれています。

ブッポウソウ目の特徴的な科と種

ブッポウソウ目は、大きく分けて以下の科に分類されます。

カワセミ科 (Alcedinidae): 世界中に分布し、大きな頭とクチバシが特徴です。カワセミ、アカショウビン、ヤマセミなどが含まれ、水中にダイビングして魚などを捕食することで知られています。
ハチクイモドキ科 (Momotidae): 中央アメリカから南アメリカ北部にかけて分布し、ラケット状の尾羽が特徴です。
コビトドリ科 (Todidae): カリブ海の島々に生息する、全長10cmほどの小さな鳥です。
ジブッポウソウ科 (Brachypteraciidae): マダガスカル島に固有の種を含む科です。
ブッポウソウ科 (Coraciidae): カラスに似た体格で、輝く青色の翼が特徴です。ブッポウソウなどが含まれます。
ハチクイ科 (Meropidae): アジア、アフリカ、オーストラリアに分布し、ハチを好んで食べることで知られています。

分離された目：サイチョウ目とオオブッポウソウ目

かつてブッポウソウ目として分類されていた鳥類の一部は、近年の研究により、新たな目として分離されました。

サイチョウ目 (Bucerotiformes): 大きなクチバシを持つサイチョウ科（Bucerotidae）と、ジサイチョウ科（Bucorvidae）が含まれます。ヤツガシラ科（Upupidae）やモリヤツガシラ科（Phoeniculidae）も、かつてはブッポウソウ目に分類されていましたが、現在ではヤツガシラ目など、独立した目として扱われることが多いです。
オオブッポウソウ目 (Leptosomatiformes): オオブッポウソウ科（Leptosomidae）のみを含む、マダガスカル島に固有の目です。

また、キヌバネドリ目 (Trogoniformes) も、以前はブッポウソウ目に含める説もありましたが、現在は独立した目として分類されています。

系統と分類：進化の歴史と分類学上の議論

ブッポウソウ目の系統分類は、長年にわたって議論されてきました。伝統的な分類では、ブッポウソウ目は多くの科を含む側系統群とみなされていました。しかし、近年の分子系統学的研究により、ブッポウソウ目の単系統性を確認する一方で、キツツキ目やキヌバネドリ目など、他の鳥類との系統関係についても新たな知見が得られています。

特にキヌバネドリ目の分類は、研究者間で意見が分かれています。一部の研究者は、キヌバネドリ目をブッポウソウ目の中に含めることを提案し、また別の研究者は、独立した目として分類することを支持しています。これらの分類の見直しは、単系統群を重視する現代の分類学の潮流を反映したものです。様々な研究者による分類提案(Feduccia 1977, Maurer 1981, Cracraft 1982, Sibley & Alhquist 1990など) の比較からも、ブッポウソウ目の分類が、いかに複雑で、進化の歴史を反映したものであるかがわかります。

今後も新たな研究成果に基づき、ブッポウソウ目の分類体系はさらに修正される可能性があります。

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