カワヂシャ

カワヂシャ（川萵苣）

カワヂシャ（川萵苣、科学名：Veronica undulata）は、オオバコ科のクワガタソウ属に属する越年草です。この植物は日本全国、特に本州、四国、九州、琉球諸島の湿地帯で一般的に見られます。その名の通り、通常は川岸や水田のあぜなど、多湿な環境で生育します。また、カワヂシャは台湾、中国、東南アジア、インドにも分布しています。

特徴

カワヂシャの茎は円柱形で柔らかく、直立または斜めに伸び、高さは10〜100cm程度に達します。茎の色は淡緑色で、毛は生えていません。葉は対生で、狭卵形または長楕円形の形をしており、長さは2.5〜8cm、幅は0.5〜2.5cmです。先端は若干とがっており、基部は円形で、葉柄はないために茎を抱えるような形になります。葉の縁には鋸歯があり、質感はやや肉質で柔らかいのが特徴です。

花期は5〜6月で、葉の腋から細長い総状花序が伸び、50〜120個の花を付けます。花柄は長さ3〜5mmで毛があり、果実が成熟する時期にはまっすぐに伸びます。萼は深く4つに裂け、その裂片は狭卵形で尖っています。花冠は4つに裂け直径4〜6mmで、色は白から白紫色、淡紫色や淡紅紫色の脈が見られることがあります。
続いて、果実は蒴果で、球形で長さと幅はおおよそ2.5〜3.2mmになります。先端はわずかにくぼみ、そこには1〜1.5mmの長さの花柱が残ります。種子は板状の楕円形で、多数あり、長さ0.5mm、幅0.4mmとなっています。

名前の由来

和名の「カワヂシャ」は、「川岸に生えるレタス」を意味しています。種の名前であるundulataは、「波状の」や「うねった」という意味があり、植物の特性を反映しています。

利用

カワヂシャの若葉は軟らかく、キク科のレタスと似ていて食用にされることがあります。このため、特に若い葉が野菜として調理されることが多いです。

保全状況

日本におけるカワヂシャは、環境省のレッドリストで準絶滅危惧（NT）として評価されています。これは生息環境の変化や人間活動による影響が懸念されているためです。

近縁種

カワヂシャの近縁種には、オオカワヂシャ（Veronica anagallis-aquatica L.）があります。こちらは帰化種で、高さは40〜80cmになり、30〜70個の花をつけます。オオカワヂシャは日本の本州の岩手県以南に広がっており、特定外来生物としても指定されています。

まとめ

カワヂシャは日本の自然環境の中でその美しさと利用可能性から重要な役割を果たしています。湿地環境に適応したこの植物は、地域の生態系にとって欠かせない存在であり、その保全が求められています。

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