カンチガイもハナハダしい私の人生

アルバム概要

シンガーソングライター、KANが2010年 3月10日に発表した通算15枚目のスタジオアルバムが『カンチガイもハナハダしい私の人生』です。この作品は、音楽CDと映像を収録したDVDがセットになったパッケージとしてリリースされました。

CD収録曲

CDパートには、KANが全曲の作詞・作曲・編曲を手掛けたもの（「予定どおりに偶然に」を除く）を含む、全9曲が収められています。アルバム全体を通して、KANの持つ幅広い音楽性と遊び心が感じられるバラエティ豊かな楽曲が並びます。

冒頭を飾る「REGIKOSTAR ～レジ子スターの刺激～」は、その音楽性が際立った異色作です。現代のテクノポップを取り入れ、特に人気ユニットPerfumeのサウンドを意識して制作されました。この楽曲のサウンドプロデュースは、涌井啓一氏とmichitomo氏が手掛けています。タイトルの「REGIKOSTAR」は、1979年にヒットしたバグルスの名曲「ラジオ・スターの悲劇（VIDEO KILLED THE RADIO STAR）」を洒落て捩ったものです。

続く「小学3年生」では、前の曲から雰囲気を一転させ、華やかなビッグバンドジャズ風のアレンジに乗せて展開されます。歌詞は、小学3年生の子どもが自身の将来の夢について語るという、ユニークで温かみのある内容です。この楽曲には、日本のジャズ界を代表するピアニストの一人、塩谷哲氏がゲストミュージシャンとしてピアノで参加し、豊かなサウンドを奏でています。

3曲目の「ピーナッツ」では、ロックバンドTRICERATOPSのドラマーである吉田佳史氏が力強いドラムを、そして、数多くのアーティストの作品に参加しているギタリストの佐橋佳幸氏がギターを演奏しています。

「バイバイバイ（studio recording）」は、本作に先行してリリースされたシングル「よければ一緒に」のカップリング曲として発表されていた楽曲の、改めてスタジオで録音されたバージョンが収録されています。

「青春の風」の制作においては、KANの独特なこだわりが見られます。「曲のイメージに合わせて、あえてアマチュア感を出したい」という意向から、楽曲の間奏部分とエンディングに登場するギターソロは、KAN自身が演奏しています。それ以外のギターパートは、再び佐橋佳幸氏が担当しています。また、この楽曲にも、3曲目の「ピーナッツ」と同じく、TRICERATOPSの吉田佳史氏がドラムで参加しています。

「ordinary days」と「オー・ルヴォワール・パリ」は、アルバムの中盤に配置され、それぞれの世界観を持つ楽曲です。

8曲目に収録されている「よければ一緒に（full size）」は、本作のリードシングルとして先にリリースされた同名楽曲の、CDでは初となるフルサイズバージョンです。この楽曲は、その演奏時間が8分03秒にも及ぶ、聴き応えのある大作となっています。

CDの最終トラック「予定どおりに偶然に（with ASKA）」は、アルバムの中でも特に注目を集める楽曲です。KANが「最も尊敬してやまない先輩アーティストの一人」と公言しているASKA氏とのコラボレーションが実現しました。ASKA氏が作詞・作曲にも名を連ねており、二人のアーティストの才能が融合した貴重な共作曲です。

DVD内容

アルバムには、音楽だけでなく映像も楽しめる特典としてDVDが同梱されています。このDVDには、以下の映像が収録されています。

- アルバム制作の舞台裏に迫るドキュメンタリー映像「カンチガイもハナハダしいわたしのレコーディングドキュメント」
- 先行シングル「よければ一緒に」のスタジオライブパフォーマンス映像

これらの映像を通して、アルバムの制作風景やライブでの演奏の一部を垣間見ることができ、作品の背景やKANのアーティストとしての姿をより深く知ることができます。

まとめ

『カンチガイもハナハダしい私の人生』は、KANがそのキャリアの中で挑戦的な姿勢を見せたアルバムです。Perfumeを意識したテクノポップから、ビッグバンドジャズ、実力派ミュージシャンとの共演、そして尊敬するASKA氏とのコラボレーションまで、多岐にわたる音楽スタイルを柔軟に取り入れつつ、KANならではのユーモアや洗練された音楽性を失っていません。付属のDVDによって、アルバムの世界観をより多角的に、立体的に楽しむことができる、ファンにとっては非常に価値のある一枚と言えるでしょう。

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