カンプグルッペ

カンプグルッペ（Kampfgruppe）とは

カンプグルッペ（ドイツ語: Kampfgruppe）は、第二次世界大戦中のドイツ国防軍において、師団を基幹とした部隊をさらに柔軟に運用するために編成された臨時の戦闘部隊です。日本語では「戦闘団」や「戦闘群」と訳されます。

概要

師団は、歩兵、砲兵、工兵など様々な兵科から構成される諸兵科連合部隊であり、総合的な戦闘力を発揮できる作戦の基本単位です。しかし、師団規模の部隊をそのまま運用すると、前線部隊の行動が師団司令部の指示に縛られ、迅速な作戦行動が困難になるという問題がありました。そのため、各国の軍隊では、師団よりも小規模な諸兵科連合部隊を編成することが一般的でした。ドイツ陸軍において、この役割を担ったのがカンプグルッペです。

1920年代のヴァイマル共和国軍では、すでにバランスのとれた諸兵科連合というコンセプトが発展しており、1930年代後半には、旅団司令部や連隊本部が相互に部隊を配属し、兵器システムを統制する訓練が行われていました。この訓練を通じて、諸兵科連合チームとしてのカンプグルッペが編成されました。カンプグルッペの指揮官は、基幹となる部隊の長が兼務することが多く、指揮官の名前がカンプグルッペの名称として使われることもありました。

カンプグルッペの編成

カンプグルッペは、状況に応じて柔軟に編成されました。歩兵連隊を基幹とするもの、装甲師団では戦車連隊を基幹とするものなど、様々な編成が見られました。

パンツァーカンプグルッペ

特に装甲師団においては、戦車連隊を基幹とした戦闘団に装甲部隊を集中させ、「パンツァーカンプグルッペ」と呼ばれる完全装甲化された戦闘団を編成することが多くありました。パンツァーカンプグルッペは、装甲師団の攻撃の先鋒を担い、敵陣を突破した後は、後続の自動車化カンプグルッペが突破口を確保・拡大しました。パンツァーカンプグルッペは、さらに攻撃を継続し、敵の後方にある砲兵陣地や司令部、補給処などを攻撃しました。しかし、パンツァーカンプグルッペは機動力に優れる一方で、師団全体での機甲戦を行うことができないという制約もありました。

その他のカンプグルッペ

装甲師団においても、必ずしもパンツァーカンプグルッペが編成されたわけではありません。状況に応じて、戦車連隊を2個大隊に分割し、それぞれを装甲擲弾兵連隊に配属してカンプグルッペを編成したり、装甲偵察大隊を基幹としたカンプグルッペが編成されることもありました。

まとめ

カンプグルッペは、ドイツ国防軍が、師団という大きな単位を、より柔軟に運用するためのシステムでした。各部隊の特性を活かし、状況に合わせて柔軟に編成されることで、戦術的な選択肢を広げ、戦場での優位性を確保することに貢献しました。

参考文献

田村尚也『WWII戦術入門』イカロス出版、2021年。ISBN 978-4802210751。
House, Jonathan M『諸兵科連合の歴史: 100年にわたる戦争での戦術、ドクトリン、兵器および編制の進化』梅田宗法 (翻訳)、作品社、2024年（原著2001年）。ISBN 978-4867930441。

関連項目

支隊 - 大日本帝国陸軍の歩兵師団で編成された部隊
連隊戦闘団 - アメリカ陸軍の歩兵師団で運用された戦闘団

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