カンプチア人民共和国

カンプチア人民共和国とカンボジア国の歴史

カンプチア人民共和国は1979年から1989年にかけて存在した国家であり、その後1993年までカンボジア国として知られることとなります。この時期のカンボジアは、内部の政治的対立や戦争に翻弄され、多くの難民と国際的な影響を受けた歴史があります。

背景

カンボジアでは、ポル・ポト率いるクメール・ルージュの独裁政権が1975年から1979年にかけて猛威を振るい、都市住民の強制的な農村移住や、大量虐殺といった悲劇的な出来事が起こりました。この状況により、多くのカンボジア人が隣国ベトナムへと逃れ、同時にポル・ポト政権の権力に対する反発が強まりました。

ベトナム政府は、ポル・ポト政権による暴力に対処すべく、カンプチア救国民族統一戦線を支援し、1978年12月にはベトナム軍と共にカンボジアに侵攻を開始しました。この侵攻の結果、1979年1月10日、元首ヘン・サムリンのもとカンプチア人民共和国が成立しました。

歴史

1979年 - 1989年

カンプチア人民共和国は、ベトナム軍の支援によりポル・ポト政権から解放されたものの、新たな問題として親ベトナム派と反ベトナム派との対立が深刻化しました。また、1982年にはポル・ポト派、シハヌーク派、ソン・サン派の三派連合が「民主カンプチア連合政府」を結成し、国際社会においてヘン・サムリン政権を「ベトナムの傀儡」と見なす動きが強まりました。この結果、カンボジアの復興は遅れ、厳しい内戦が続きました。

1987年には冷戦の緩和が進み、ソ連と中国との関係改善を受けて、ヘン・サムリン政権と三派との対話も始まりました。特に、1988年度にはジャカルタでの会談が画期的な出来事として知られています。

1989年 - 1993年

1989年になると、カンプチア人民共和国は「カンボジア国」に名称を変更し、国旗や国歌、軍旗も新しくなりました。同年9月にはベトナム軍がカンボジアから完全撤退しました。1990年9月には、国民評議会が設置され、カンボジアの和平を目指す国連の介入が始まります。1991年にはパリ和平協定が結ばれ、カンボジアの政治的安定をもたらすことになります。

UNTAC（国連カンボジア暫定統治機構）の下で、カンボジアは全体としての合法機関が形成されましたが、ポル・ポト派の武装解除には再び苦しむことになり、依然として国際的な影響を受け続けました。そして1993年には総選挙が行われ、シハヌークが国王に就任し、カンボジア王国が正式に成立しました。

カンボジアのこの時期は、国民にとって非常に厳しい時代であり、歴史に名を刻む重要な出来事の連続でした。カンプチア人民共和国からカンボジア王国への移行は、国の形を大きく変える過程でもありました。

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