ソン・サン

ソン・サン：カンボジア現代史を駆け抜けた政治家

ソン・サン（1911年10月5日 - 2000年12月19日）は、カンボジアの激動の20世紀後半を生き抜いた政治家です。王制時代、内戦時代、そして和平後のカンボジアにおいて、様々な要職を歴任し、その生涯はカンボジア現代史を映し出す鏡とも言えるでしょう。

王制下での首相から亡命、そして反政府勢力のリーダーへ

1960年代、ソン・サンはノロドム・シハヌーク国王の下で首相を務めましたが、わずか7ヶ月で解任されました。1970年のロン・ノル将軍によるクーデター後、パリへ亡命。その後、1980年頃に帰国し、クメール人民民族解放戦線 (FLNPK) を組織しました。FLNPKは、ベトナムが支援するカンプチア人民共和国（ヘン・サムリン政権）に反対する民族運動を展開しました。

三派連合政府への参加と苦悩

ソン・サンは当初、ポル・ポト派を含む三派連合政府への参加に抵抗していました。しかし最終的には連合に同意。アメリカやタイの支援を受け、一定の軍事力を保持していましたが、内部の結束は弱く、内紛も絶えませんでした。ポル・ポト派の虐殺や戦争犯罪、シハヌーク派の軍事的な弱さといった問題も抱え、苦悩の時代を送りました。

和平と憲法制定議会議長

1993年、カンボジア最高国民評議会と国際連合カンボジア暫定統治機構 (UNTAC) の下で行われた憲法制定議会選挙で、ソン・サンは議長に選出されました。同年9月の新憲法発効までその任を務め、カンボジアの民主化に貢献しました。

その後

1998年、仏教自由民主党を離党し、ソン・サン党を結成して議長に就任。しかし、1999年1月15日、ソン・サン党はフンシンペックに吸収合併されました。

2000年12月19日、ソン・サンはフランス・パリで心臓発作により死去。同年12月31日、プノンペンで国葬が執り行われ、その生涯に幕を閉じました。

ソン・サンの生涯は、カンボジアの激動の歴史そのものです。王制、内戦、そして和平という時代の流れの中で、彼は常にカンボジアの未来を模索し続けました。その功績は、カンボジアの人々の記憶に深く刻まれています。

もう一度検索