カンムリヅル

カンムリヅルについて

カンムリヅル（冠鶴、学名: Balearica pavonina）は、鳥綱ツル目ツル科に属する特徴的な鳥です。この種はアフリカに広く分布しており、エチオピア、カメルーン、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、ケニア、スーダン、セネガル、チャド、ニジェール、マリ共和国、南スーダン、モーリタニアを中心に見られます。ただし、ナイジェリアではすでに絶滅しています。

形態

カンムリヅルは全長約95センチメートルで、灰黒色の体色を持ちます。羽毛の中でも特に上雨覆と下雨覆は白く、内側の大雨覆は淡黄色で、初列風切と外側2枚の次列風切は黒色、次列風切と三列風切には赤褐色が見られます。近縁種であるホオジロカンムリヅルと似ていますが、カンムリヅルの方が黒味が強く、顔の頬部分は赤色です。

また、カンムリヅルの虹彩は白色で、顔には羽毛のない裸出部があり、上半分は白、下半分はピンク色です。喉には赤やピンクの肉垂が存在し、視覚的にとても印象的です。卵は淡青色で斑紋はなく、若鳥は体の一部に褐色の羽毛が見られ、冠羽も未発達です。

分類

カンムリヅルは、以下のように2つの亜種に分かれています。

• - Balearica pavonina pavonina: ガンビア・セネガルからチャドにかけて分布。
• - Balearica pavonina ceciliae: チャドからエチオピア、ウガンダ北部、ケニア北部にかけて。

この分類は、国際鳥類学会（IOC World Bird List）の基準に従っています。

生態

カンムリヅルは主に湿地や河辺に生息し、非繁殖期には通常50羽から100羽ほどの群れを形成します。また、小規模な群れで行動することもあります。食性は多様で、草本や種子、昆虫、軟体動物、さらには魚類や爬虫類まで摂食します。特に耕作地での採食が多く見られ、大型動物が草むらを通過する際に驚いて飛び出る昆虫を捕まえたり、足で草を掻き分けて虫を追い出したりします。

繁殖については、湿地に巣を作り、2～3個の淡青色の卵を産みます。抱卵期間は28～31日で、仮にホオジロカンムリヅルと並んで木の枝に止まれる数少ないツルの一種でもあります。

人間との関係

カンムリヅルは、農耕地においてバッタなどを捕食することから、農業の現場で害虫駆除に利用される事例があります。さらに、頭部や羽は伝統的に薬用とされることもあり、さまざまな文化でその価値が認識されています。しかし、一方では農作物への食害をもたらす害鳥として扱われることもあります。

カンムリヅルはナイジェリアの国鳥であり、その存在は地域文化に深く根付いています。しかし、農地の開発、湿地の排水、過放牧、ダム建設による干ばつ、石油採掘、農薬の使用、狩猟など多くの要因が生息数の減少に拍車をかけています。1985年にはワシントン条約附属書IIに掲載され、基亜種の生息数は1985年頃には15,000～20,000羽、2004年には約15,000羽と推定されていました。再生可能な生息環境の保護が急務です。

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