カーゴテック

カーゴテック（Cargotec Oyj）

フィンランド共和国の首都ヘルシンキに本社を構えるカーゴテックは、世界の物流インフラを支える重要な要素である荷役機器の分野で活動する国際的な企業です。特に、船舶、港湾設備、および各種ターミナルで使用される高度な荷役システムや関連機器の製造・販売を中核事業として展開しています。同社はナスダック・ヘルシンキ証券取引所に上場しており、そのティッカーシンボルはCGCBVです。

企業沿革

カーゴテックの設立は比較的最近の出来事で、2005年6月に産業機器大手のコネ社から分社・独立する形で誕生しました。この新たな企業体は、コネ社がそれまで保有していた三つの主要な商業部門を結集して構成されました。具体的には、コンテナ関連機器を取り扱うKalmar事業、貨物ハンドリング機器部門であるHiab（Hydrauliska Industri AB）、そして海上貨物処理システム部門のMacGregorです。

これらの統合された各事業部門は、カーゴテックとして独立する以前から、それぞれが長い歴史と独自の強みを有していました。過去数十年にわたり、これらの事業は数々の合併や買収を経験し、現在の規模と技術力を築き上げてきました。例えば、現在、陸上および産業用貨物ハンドリング機器の中心を担うHiabは、もともとスウェーデンに基盤を置く企業であり、2002年にコネ社のグループに加わりました。また、海上輸送分野のリーダーであるMacGregorも、元々はイギリスで創業された企業です。

近年の重要な動きとしては、2020年10月に同業他社であるコネクレーンズとの大規模な経営統合計画が発表され、業界内外で大きな注目を集めました。しかし、この計画は最終的に実現しませんでした。2022年3月、特にイギリスの競争・市場庁（CMA）が、この統合が市場競争を著しく制限する可能性があるとして反対姿勢を示したためです。規制当局からの承認が得られなかったことにより、両社は同年中に合併計画を断念することを決定しました。

さらに、企業戦略の見直しおよび事業ポートフォリオの最適化の一環として、カーゴテックは2024年7月に、主要事業の一つであるコンテナ関連機器部門、具体的にはKalmar Corporationを会社分割しました。これにより、同社は新たな事業体制へと移行を進めています。

事業概要

カーゴテックの事業は、主に以下の三つの領域で構成されています。

• - Kalmar: 港湾やターミナルにおけるコンテナおよび重貨物ハンドリング機器に特化しており、リーチスタッカー、ターミナルトラクター、クレーンなどを提供しています。
• - Hiab: トラック搭載型クレーン、ローダークレーン、フォークリフト、ごみ収集車用リフトなど、陸上での貨物積載・運搬・荷降ろしを効率化する幅広い機器を手掛けています。
• - MacGregor: 船舶における貨物の積み降ろし、移動、固定に関するシステムを提供しており、デッキクレーン、ハッチカバー、Ro-Ro（ロールオン・ロールオフ）機器、オフショア用機器などが含まれます。

日本における事業展開

カーゴテックは、日本市場においても積極的に事業を展開しており、現在二つの100％出資子会社を通じて活動しています。

• - カーゴテック・ジャパン株式会社（Cargotec Japan Ltd）: 主にHiabブランドの貨物ハンドリング機器の販売、メンテナンス、アフターサービスを担当しています。横浜市（新横浜地区）に拠点を置いています。
• - マックグレゴー・ジャパン株式会社（MacGregor Japan Ltd）: MacGregorブランドの海上貨物処理システムに特化しており、船舶向け機器の供給やサービスを提供しています。同社は2010年にカーゴテックの完全子会社となり、カーゴテック・ジャパンと同様に横浜市（新横浜地区）にオフィスを構えています。

これらの日本法人は、国内外で培われたカーゴテックグループの技術力と専門知識を背景に、日本の顧客ニーズに応じた製品とサービスを提供し、国内の物流および海運産業を支えています。

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関連情報:

• - カーゴテック公式ウェブサイト（[英語]]）
• - [ヒアブジャパン（カーゴテック・ジャパン株式会社）
• - マックグレゴー・ジャパン株式会社

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