カード (護衛空母)

USSカードの艦歴

USSカード（USS Card）は、第二次世界大戦中にアメリカ海軍で運用されたボーグ級護衛空母の一隻です。その艦歴を通じて、航空機搭載護衛艦（AVG）、補助空母（ACV）、護衛空母（CVE）、ヘリコプター護衛空母（CVHE）、雑役空母（CVU）、貨物航空機運搬艦（AKV）と、複数回にわたって艦種記号が変更されました。当初は商船として計画されましたが、その役割は大きく変化していきました。

本艦は海事委任契約に基づき、ワシントン州タコマのシアトル・タコマ造船所にて、C-3型貨物船（船体番号178）として1941年10月27日に起工されました。翌1942年2月27日にはAVG-11として進水し、同年8月20日にはACV-11に艦種が変更されます。そして1942年11月8日、J・B・サイクス艦長の指揮のもと、アメリカ海軍艦艇として正式に就役しました。

就役後、カードは1943年1月18日にサンディエゴを出港し、東海岸へ移動。ハンプトン・ローズに到着後、チェサピーク湾で訓練を実施しました。同年5月14日から6月1日にかけては、北アフリカ侵攻作戦に関連し、ニューヨークからカサブランカへ航空機と兵員を輸送する任務に就きました。7月5日にノーフォークへ帰港した後、7月15日には護衛空母としてのCVE-11に再び艦種が変更されました。その後、カードは第21.14任務群の旗艦として、大西洋上でのドイツ潜水艦に対する対潜掃討作戦に投入されることとなります。

1943年7月27日から9月10日にかけて行われた最初の対潜作戦巡航は、目覚ましい成功を収めました。カードの搭載する航空部隊は、8月7日に北緯39度32分、西経38度21分の海域でU-117を撃沈したのを皮切りに、8月9日には北緯40度12分、西経37度29分でU-664を、8月11日には北緯41度29分、西経38度55分でU-525を、そして8月27日には北緯28度19分、西経37度58分でU-847を撃沈しました。

9月25日から11月9日までの二度目の巡航では、さらに大きな戦果を上げました。10月4日には燃料補給中の4隻の潜水艦を発見し、そのうちU-460（北緯43度13分、西経28度58分）とU-422（北緯43度18分、西経28度58分）の2隻を撃沈しました。9日後には北緯48度56分、西経29度41分でU-402を、10月31日には北緯49度14分、西経31度55分でU-584を撃沈しました。この巡航中、11月1日には護衛の駆逐艦ボリー（USS Borie, DD-215）がU-405と交戦。激しい戦闘の末、ボリーはU-405を北緯50度12分、西経30度48分で撃沈しましたが、自身も大きな損傷を負い、翌日味方によって処分されました。カードとその任務群は、7月下旬から10月下旬にかけての顕著な対潜活動の功績が認められ、殊勲部隊章（Distinguished Unit Citation）を受章しました。

11月24日、カードは三度目の対潜作戦巡航のため北大西洋へ出航しました。12月23日遅く、任務部隊はドイツ潜水艦群（ウルフパック）と遭遇し、カードは約5時間にわたり12回の敵接触に直面しました。護衛の駆逐艦シェンク（USS Schenck, DD-159）は北緯45度20分、西経21度40分でU-645を撃沈しましたが、別の駆逐艦リアリー（USS Leary, DD-158）は、北緯45度00分、西経22度00分の海域で3隻の潜水艦による攻撃を受け沈没しました。シェンクがリアリーの生存者を救助する間、カードは駆逐艦ディケーター（USS Decatur, DD-341）のみを伴って、夜通し潜水艦の追跡を回避し続けました。任務部隊は1944年1月2日にノーフォークに帰還しました。

1944年3月18日から5月17日まで、カードは再びノーフォークとカサブランカ間の輸送任務に従事しました。その後オーバーホールを受け、6月4日にクォンセット・ポイントへ向かい、パイロットの認証訓練を支援しました。6月21日にノーフォークへ戻った後、第22.10任務群の中核として活動を再開。6月25日にノーフォークを出航した対潜部隊は、7月5日に護衛駆逐艦トーマス（USS Thomas, DE-102）とベーカー（USS Baker, DE-190）によって、北緯42度16分、西経59度49分でU-233を撃沈する戦果を挙げました。この際、艦長を含む30名のドイツ潜水艦乗組員が救助され、カードは翌日彼らをボストンへ輸送しました。

カードの次の対潜作戦巡航は7月10日から8月23日までカリブ海で行われましたが、この期間には特筆すべき戦果はありませんでした。9月18日には第22.2任務群の旗艦となり、アゾレス諸島沖での偵察巡航や、10月12日にはイギリス海軍第9護衛艦隊との合同対潜作戦に参加しました。1944年12月1日から1945年1月22日までの偵察巡航を終えた後、カードはフィラデルフィア海軍造船所でオーバーホールに入りました。2月7日に完了後、リバプールへ陸軍の航空機や陸海軍の兵員を輸送し、3月12日にノーフォークに帰還しました。3月21日から5月24日までは、クォンセット・ポイントを拠点としてパイロットの認証訓練支援を再開。終戦が近づくにつれて、6月21日から24日にはキューバのグアンタナモ湾へ兵員と航空機を輸送し、その後パナマ運河を通過して真珠湾およびグアムへの物資輸送任務に就き、1945年8月14日にサンディエゴへ帰還しました。

第二次世界大戦終結後、カードは復員兵を帰国させる「マジック・カーペット作戦」に配属されました。1945年8月21日から12月16日まで、真珠湾とアメリカ西海岸の間を二往復し、多くの兵士を故国へ運びました。任務完了後、カードは1946年1月7日にアラメダを出港し、5月13日にノーフォークで予備役となりました。

戦後もその艦籍は維持され、1955年6月12日にはヘリコプター護衛空母を示すCVHE-11に、1958年7月1日には雑役空母のCVU-11に、そして1959年5月7日には貨物航空機運搬艦のAKV-40へと、再び艦種が変更されました。

特筆すべきは、ベトナム戦争中の1964年5月2日、サイゴン港に停泊中に南ベトナム解放民族戦線の潜水部隊によって仕掛けられた機雷により触雷し、沈没するという出来事です。この攻撃により5名の死者が出ました。しかし、カードはそのわずか半月後の5月19日には引き揚げられ、懸命な修復作業を経て、同年12月11日には奇跡的に任務に復帰しています。

最終的に、カードは殊勲部隊章に加え、第二次世界大戦での貢献に対して3つの従軍星章を受章しました。大西洋での過酷な対潜戦から、太平洋での輸送任務、そしてベトナムでの戦禍からの復帰まで、USSカードは護衛空母として多岐にわたる困難な任務を遂行した艦艇です。

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