カーネギー国際平和基金

カーネギー国際平和基金：国際平和への貢献を目指すシンクタンク

カーネギー国際平和基金（Carnegie Endowment for International Peace, CEIP）は、国際関係に関する研究と政策提言を行う、世界有数のシンクタンクです。1910年にアンドリュー・カーネギーによって設立され、国際協力の推進と平和の実現を使命として活動しています。

設立と初期の活動

実業家であり慈善家であったアンドリュー・カーネギーは、国際協調主義の信念のもと、国際法や国際機関の強化が戦争の根絶に繋がると考えました。その思想を実現するため、1910年に1000万ドル相当の基金を設立し、その運用益で世界平和に関するシンクタンクを設立することを決定しました。

カーネギーは、基金の評議員に対し、「我々の文明における最大の汚点である国際戦争の早期の全廃」のために基金を活用するよう求め、そのための幅広い裁量を与えました。初代理事長には、長年の助言者であったエリフ・ルートが任命され、ルートは1912年にノーベル平和賞を受賞しています。

初期の活動として、第一次世界大戦後の復興支援や、国際理解を深めるための図書館への蔵書寄贈プログラムなどが実施されました。また、1923年には、ハーグの平和宮内にハーグ国際法アカデミーを設置し、国際法の発展に貢献しました。

冷戦期から現代へ

冷戦期には、国際機関の重要性の増大や技術革新、共産主義の拡散など、新たな国際問題に対応するため、国際法プログラムを再構築しました。1990年代には、ソ連崩壊後のロシアに注目し、1994年にカーネギー・モスクワ・センターを開設しました。

2000年代以降は、「世界初の多国籍・国際シンクタンク」を目指し、グローバルな視点を取り入れた研究と政策提言を強化しています。ベイルート、ブリュッセル、北京、ニューデリーなど、世界各地に拠点を設立し、地域ごとの視点を取り入れた活動を展開しています。

各センターの役割

カーネギー・モスクワ・センター: ソ連崩壊後のロシアとユーラシアにおける研究拠点として、米露関係の促進を目指していましたが、2022年にロシア政府により閉鎖されました。
カーネギー中東センター: 中東地域の政治変動や経済、安全保障に関する研究を行っています。
カーネギー・ヨーロッパ: ヨーロッパにおける国際的な課題に対する新たな視点を提供することを目指しています。
カーネギー清華国際政治センター: 中国の外交、国際経済、気候変動、安全保障問題などを研究しています。
* カーネギー・インド: インドの政治経済、外交・安全保障政策、技術の役割などに焦点を当てています。

組織と運営

カーネギー国際平和基金は、評議員会と理事長によって運営されています。評議員会議長は元アメリカ合衆国商務長官のペニー・プリツカーが務め、理事長はカリフォルニア州最高裁判事でスタンフォード大学教授のマリアーノ＝フロレンティーノ・クエリャルが務めています。

影響力と評価

カーネギー国際平和基金は、ペンシルベニア大学の報告書で、世界で最も影響力のあるシンクタンクの一つとして評価されています。その研究成果は、政策決定者や研究者、ジャーナリストなど、幅広い層に影響を与えています。

まとめ

カーネギー国際平和基金は、アンドリュー・カーネギーの平和への願いを受け継ぎ、国際協力の推進と平和の実現に向けて活動を続けています。世界各地の拠点を結び、グローバルな視点と地域ごとの視点を組み合わせた研究と政策提言は、国際社会の発展に貢献しています。

もう一度検索