カーネーション

カーネーションの概要

カーネーション（英名: carnation、学名: Dianthus caryophyllus L.）は、ナデシコ科に属する多年草で、日本ではオランダナデシコやジャコウナデシコなどの別名で知られています。この花の美しさは、世界中で愛されている理由でもあり、特に母の日には贈り物として人気を集めています。

原産地と名称の由来

カーネーションの原産地は、南ヨーロッパ及び西アジアの地中海沿岸とされています。カーネーションという名前の由来にはいくつかの説があります。一つは、ラテン語の「carn」（肉）の色にちなんで名付けられたという説です。また、ウィリアム・シェイクスピアの時代に「冠飾りの花」（coronation flower）として使われたことが転じたとも言われています。

歴史

この花は地中海沿岸から古代から親しまれてきました。特に、イスラム世界ではバラやチューリップと並ぶ愛される花として、モスクの装飾などに利用されてきました。イスラム教の教義から、偶像崇拝が禁止されているため、アラベスク模様や草花のデザインにカーネーションが多く用いられました。

17世紀に入ると、イギリスやオランダで300種類以上のカーネーションが栽培されるようになり、フローリストたちによって品種が改良されました。特に18世紀には「ショウ・カーネーション」が登場し、19世紀にはフランスでの育種によって「パーペチュアル系」や「マルメゾン系」が生まれました。これらの品種は、現在の営利用カーネーションの基礎となっています。

母の日にカーネーションを贈る風習は、20世紀初頭の米国に由来し、アンナ・ジャーヴィスが亡くなった母親に白いカーネーションを供えたことが始まりとされています。また、2013年にはカーネーションのゲノム解析が成功し、新しい色や病気に強い品種が期待されています。

栽培

日本には江戸時代初期にカーネーションが輸入され、当初は「アンジャベル」と呼ばれました。享保年間に出版された書物には、徳川家光の時代にオランダから持ち込まれたことが記されていますが、定着には至りませんでした。再度、寛文年間に14品種が紹介され、その後も栽培が進みました。1909年には、アメリカからの品種が持ち込まれましたが、栽培技術が未成熟であったため、発展には繋がりませんでした。その後、土倉龍治郎が近代的な栽培技術を確立し、「カーネーションの父」と呼ばれるようになりました。

現在、カーネーションはキクやバラと並んで高い生産量を誇り、ハウス栽培が行われています。特に母の日の時期に需要が高まります。さらに、切り花としてのイメージが強いカーネーションですが、最近では鉢植えの品種も普及しています。

カーネーションの主要な生産地は長野県と愛知県で、国内生産量は中国やコロンビアからの輸入量とほぼ同じです。農研機構は、美しさや日持ちの良さを改善した品種の開発にも取り組んでいます。

食用品種

観賞用の他に、カーネーションの中には食用品種も存在します。

主な品種

• - 切り花品種:

- マルメーゾン種
- ボーダー種
- グルナダン種
- ファンテジー種
- マーガレット種
- シャボー種
- パーペチュアル種

• - ガーデンカーネーション:

- セキチクとの交配種で、庭植えが可能です。

文化

カーネーションはスペイン、モナコ公国、ホンジュラスの国花にも指定されています。これにより、文化的にも重要な位置を占めています。

カーネーションは、その美しさや歴史から、多くの人々に愛され続ける花です。

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