カーライル伯爵

カーライル伯爵について

カーライル伯爵（Earl of Carlisle）は、イギリスの貴族制度における著名な爵位の一つです。この伯爵位は、これまでに3回創設されており、現在の第3期は1661年に設立されました。その初代は、ハワード家出身のチャールズ・ハワード氏です。特筆すべきは、カーライル伯爵とその本家であるノーフォーク公爵ハワード家との宗教的な違いです。ノーフォーク公爵家は代々カトリックであるのに対し、カーライル伯爵家は始めからプロテスタントであり、これが後の政界での活動にも影響を与えました。

歴史的背景

カーライル伯爵位の第一期は、1322年に初代ハークレイ男爵アンドリュー・ハークレイが叙されたことから始まります。しかし、彼は1323年に国王エドワード2世との間でスコットランド王との講和を独断で進め、これが大逆罪とされて処刑されました。このような経緯により第一期の伯爵位は彼一代で終わってしまいました。

第二期は、外交官として活躍したジェイムズ・ヘイが1622年に叙されたことで始まり、彼の家族もいくつかの爵位を与えられましたが、後に彼の男子ができず二代にして廃絶となりました。

第三期の復活

現在の第3期は1661年、チャールズ・ハワードが多くの爵位と共に叙されたことに起因します。彼は清教徒革命時には議会派軍の指揮官として、またイングランド共和国時代にはオリバー・クロムウェルの側近として活動しました。しかし、クロムウェルの死後に王党派へ転向し投獄されたため、王政復古後に新たに爵位を与えられることとなりました。このように、カーライル伯爵位は彼の男子によって守られてきました。

政治活動と影響

カーライル伯爵家はプロテスタントであったため、18世紀から19世紀初頭にかけて、ホイッグ党政権下で多くの閣僚職を歴任しました。中でも3代伯爵チャールズは第一大蔵卿に任命され、さらに5代伯爵フレデリックはアメリカ独立戦争中にカーライル和平使節団の団長を務めました。また、その後の6代・7代伯爵も多くの重要職を経験しています。

現在の当主である第13代カーライル伯爵ジョージ・ハワードは、複数の爵位を保有しており、その背景には長い貴族の歴史があります。特に注目すべきは、18世紀初頭に建設されたハワード城です。この城はサー・ジョン・ヴァンブルーによる設計で、イギリスの貴族の邸宅としては特に壮麗なものとされています。

地所はカンバーランド周辺に広がっており、1883年の調査では7万8500エーカーもの広大な領地が存在しました。現在もカーライル伯爵家が所有するネイワース城は歴史的価値をもつ建物とされています。

現当主の爵位

現当主ジョージ・ハワードは第13代カーライル伯爵として、ノーサンバーランド州におけるハワード子爵、カンバーランド州におけるデイカー男爵、スコットランド貴族爵位フリーランドのリヴァン卿など、複数の爵位を保持しています。彼の弟であるフィリップ・チャールズ・ウェントワース・ハワードが次代の推定相続人とされています。

このようにカーライル伯爵家は長い歴史を有し、政治、文化両面で影響を及ぼしてきた貴族です。

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