カーリターダー

カーリターダーの概要と役割

カーリターダー（英: car retarder）は、貨物列車の操作に関わる重要な設備です。主に貨車操車場に設置され、転がる貨車に対して地上からブレーキをかける役割を果たします。この装置は、貨車がスムーズに仕分けされるための工夫の一環として機能しており、貨物の搬送効率を高める重要な要素です。

カーリターダーの仕組み

カーリターダーには主に2つのタイプがあります。一つはユニオン式で、これは軌道に沿った制動桁を空気圧や油圧で車輪の側面に押し当てて制動を行う方式です。もう一つはダウティ式で、こちらはレールの内側に設置された油圧ピンを、貨車の車輪のフランジが踏み下げることで減速を図る仕組みです。

これらの装置により、操作員による手動のブレーキ操作の必要が減り、作業の効率が向上します。特に、ハンプヤードと呼ばれる貨物を仕分けるための場所では、貨車が急な勾配を使って加速し、慣性を保ちながら仕分け線まで走り続けます。この際、カーリターダーが設置されていないと、貨車が過剰に加速し、仕分けラインをオーバーランしたり、すでに収容されている貨車に衝突する危険が生じます。

カーリターダーの歴史

カーリターダーの歴史は1918年にドイツで始まり、その数年後の1924年にはアメリカでも使用されていました。日本においては、1937年に新鶴見操車場で初めて試験的に導入され、その後の改良を経て1949年から1950年にかけて16基が設置されました。これが国内のカーリターダーの普及の第一歩となります。

新鶴見操車場に設置されたカーリターダーは、1945年に戦争の影響で使用停止となり、その後撤去されることとなります。しかし、1950年代からは次第に各地のハンプヤードに普及していきました。特に1970年には、リニアモーター式の加減速装置も導入され、富山操車場に設置されるなど、技術革新が続きました。

現在の状況

しかしながら、1984年の国鉄ダイヤ改正によって、ヤードでの集結形貨物輸送が廃止されたことに伴い、国内のカーリターダーの数は減少しました。最終的には、京葉臨海鉄道千葉貨物駅のダウティ式カーリターダーが最後の存在となり、2021年には同駅の突放入換廃止によりついにその姿を消しました。

結論

カーリターダーは、貨物の運行を安全かつ効率的にするために不可欠な装置であり、国内の貨物輸送の歴史において重要な役割を果たしてきました。技術の進化とともに変遷を遂げてきたこの装置が、今後どのように活用されていくのか、関心が集まります。

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