カーリン・ラーション

カーリン・ラーション（1859年 - 1928年）は、スウェーデンの国民的画家カール・ラーションの妻であり、芸術家としての才能を持ちながら、家庭的なデザインを通して夫の作品に大きな影響を与えた女性です。旧姓はベーリェー（Bergöö）といいます。

生涯

スウェーデン中部のエレブルーで、成功したビジネスマンの家庭に生まれました。幼い頃から絵の才能を発揮し、ストックホルムで美術を学び、1877年から1882年までスウェーデン王立美術院で学びました。1879年にカール・ラーションと出会い、1882年にパリ郊外で婚約、翌年結婚しました。二人の間には7人の子供が生まれ、スンドボーンの家「リッラ・ヒュットネース」で子育てをしながら暮らしました。

家庭におけるアーティスト

リッラ・ヒュットネースは、カーリンとカールが共に暮らし、創造性を発揮した特別な場所でした。1888年にこの家を受け継いだ夫妻は、自分たちの理想の住まいにするために、増改築を重ねました。カーリンは、室内のデザインにおいて、実用性と質素さを重視し、独自のスタイルを確立しました。彼女がデザインしたカーテンやタペストリーなどのテキスタイルは、カールの絵画作品を通して世界中に紹介されました。

また、カーリンは「カール・ラーション様式」と呼ばれるドレスや妊婦服、女の子用の服もデザインしました。これらのデザインは当初、カールの作品として認識されていましたが、後の研究でカーリンの作品であることが明らかになりました。彼女は家具のデザインも手掛け、そのモダンなデザインは当時の人々を驚かせました。

リッラ・ヒュットネース

現在、「カール・ラーション・ゴーデン（記念館）」として公開されているリッラ・ヒュットネースには、カーリンがデザインした花台や小児用ベッドなどが展示されており、当時の暮らしぶりを垣間見ることができます。カーリンの才能は、夫カールの陰に隠れて評価されることが少なかったものの、彼女のデザインセンスと芸術的な才能は、カールの作品に大きな影響を与え、独自のスタイルを確立する上で重要な役割を果たしました。彼女の作品は、今もなお多くの人々を魅了し、愛されています。

彼女の故郷を紹介するサイトも存在します。

Förening Karin Bergöö Larssons vänner（スウェーデン語）

参考文献

東京都庭園美術館、三重県立美術館他編『スウェーデンの国民画家 カール・ラーション展』読売新聞社・美術館連絡協議会、1994年
レナーテ・プフォーゲル『ラーソン』タッシェン〈ニューベーシックアートシリーズ〉、2003年、ISBN 978-4-88783-243-5

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