カール・アンド・ザ・パッションズ - ソー・タフ

『カール・アンド・ザ・パッションズ - ソー・タフ』は、1972年にザ・ビーチ・ボーイズがリリースしたアルバムです。このアルバムは、バンドにとって変革期に制作された作品であり、ブルース・ジョンストンの脱退と、リッキー・ファターとブロンディ・チャップリンという2人の新メンバーの加入という出来事がありました。

当初、『ペット・サウンズ』との2枚組として発売されました。これは、権利関係上、ビーチ・ボーイズがキャピトル・レコード時代にリリースした『ペット・サウンズ』以降の作品を販売できたためです。しかし、このアルバムは、後に彼らの古典的名作と評価される作品群の前に霞んでしまい、当時のファンを失望させる結果となりました。

アルバムのタイトルは、彼らがビーチ・ボーイズとして活動する前に使用していたバンド名の一つに由来します。これは、バンドのルーツを再認識し、新たな方向へ進む決意を示すものだったのかもしれません。

1971年当時、カール・ウィルソンはバンドの新しいリーダーとして期待されていました。彼は、ドラムスのリッキー・ファターと、ボーカルのブロンディ・チャップリンを迎え入れ、音楽性をファンキーな方向へとシフトさせることを試みました。しかし、アルバムのセッションが始まって間もなく、ブルース・ジョンストンがマネージャーのジャック・ライリーとの意見の相違からバンドを脱退してしまいます。

アルバム収録曲は以下の通りです。

Side 1
ユー・ニード・ア・メス・オブ・ヘルプ・トゥ・スタンド・アローン - You Need A Mess Of Help To Stand Alone (Brian Wilson/Jack Rieley) 3:27
ヒア・シー・カムズ - Here She Comes (Ricky Fataar/ Blondie Chaplin) 5:10
ヒー・カム・ダウン - He Come Down (Brian Wilson/ Al Jardine/ Mike Love) 4:41
マーセラ - Marcella (Brian Wilson/Tandyn Almer/Jack Rieley) 3:54

Side 2
ホールド・オン・ディア・ブラザー - Hold On Dear Brother (Ricky Fataar/Blondie Chaplin) 4:43
メイク・イット・グッド - Make It Good (Dennis Wilson/Daryl Dragon) 2:36
オール・ディズ・イズ・ザット - All This Is That (Alan Jardine/Carl Wilson/Mike Love) 4:00
カドル・アップ - Cuddle Up (Dennis Wilson/Daryl Dragon) 5:30

このアルバムは、ビーチ・ボーイズの歴史において、過渡期を象徴する作品と言えるでしょう。メンバーの変動、音楽性の変化、そしてファンの期待とのずれ。それらが複雑に絡み合い、『カール・アンド・ザ・パッションズ - ソー・タフ』という作品を形作っています。発表当時は評価が分かれましたが、現在では、ビーチ・ボーイズの多様な音楽性を知る上で重要な作品として再評価されています。

もう一度検索