カール・ルートヴィヒ・フォン・エスターライヒ

カール・ルートヴィヒ・フォン・エスターライヒ：激動の時代を生きた皇族

カール・ルートヴィヒ・フォン・エスターライヒ（1833年7月30日 - 1896年5月19日）は、オーストリア帝国の皇族であり、オーストリア大公でした。全名はカール・ルートヴィヒ・ヨーゼフ・マリア。フランツ・カール大公の三男として、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の弟、そして後の皇帝カール1世の祖父にあたる人物です。

生涯

1833年、カール・ルートヴィヒはウィーンのシェーンブルン宮殿で生を受けました。兄には、後にオーストリア皇帝となるフランツ・ヨーゼフと、メキシコ皇帝となるマクシミリアンがいました。母ゾフィーは、ウィーン大司教ヨーゼフ・オットマール・ラウシャーに、息子カール・ルートヴィヒへの宗教教育を依頼。このラウシャーの影響から、カール・ルートヴィヒは敬虔なクリスチャンとして成長しました。

政治への関心は薄かったものの、1853年にアゲノル・ロムアルト・ゴウホフスキの下でガリツィア・ロドメリア王国総督府に赴任し、政治に関わることになります。1855年にはインスブルック総督に任命され、アンブラス城を住居としました。しかし、従兄のライナー・フェルディナントや内務大臣アレクサンダー・フォン・バッハによって政治権限は制限され、1861年2月に総督を辞任。その後は芸術と科学のパトロンとして、その世界に没頭しました。

1889年、甥であるルドルフ皇太子がマイヤーリンクで情死を遂げると、兄フランツ・ヨーゼフ1世の推定相続人に選ばれます。しかし、「カール・ルートヴィヒは長男フランツ・フェルディナントに推定相続人の地位を譲った」という誤った情報が流れました。

1896年、パレスチナとエジプトへの旅行中にヨルダンで不衛生な水を飲み、腸チフスに感染。帰国後の5月19日、シェーンブルン宮殿で生涯を閉じました。遺骨はウィーンのカプツィーナー納骨堂に納められています。彼の死後、長男フランツ・フェルディナントが新たな推定相続人となりますが、1914年にサラエボ事件で暗殺され、第一次世界大戦の引き金となるという悲劇が起こりました。

家族

カール・ルートヴィヒは生涯で3度の結婚を経験しています。

最初の妃は、ザクセン王ヨハンの王女マルガレーテ。1856年11月4日にドレスデンで結婚しましたが、2年後に死別し、子供はいませんでした。

2人目の妃は、両シチリア王フェルディナンド2世の王女マリア・アンヌンツィアータ。1862年10月16日に代理人を介してローマで、10月21日に本人出席のもとヴェネツィアで結婚式が行われました。彼女との間には、以下の三男一女が誕生しました。

フランツ・フェルディナント（1863年 - 1914年）：オーストリア＝ハンガリー帝位継承者
オットー・フランツ（1865年 - 1906年）：皇帝カール1世の父
フェルディナント・カール（1868年 - 1915年）：帝位継承権を放棄。平民の娘と結婚し、ハプスブルク家から追放
マルガレーテ・ゾフィー（1870年 - 1902年）：ヴュルテンベルク公アルブレヒト妃

3人目の妃は、ポルトガル王ミゲル1世の王女マリア・テレザ。1873年7月23日にクラインホイバッハで結婚し、以下の二女をもうけました。

マリア・アンヌンツィアータ（1876年 - 1961年）
エリーザベト・アマーリエ（1878年 - 1960年）：リヒテンシュタイン侯子アロイス妃

系図(出典:ウィキメディア・コモンズ)

カール・ルートヴィヒは、オーストリア帝国の激動の時代を生き、その家族を通して、ヨーロッパの歴史に大きな影響を与えた人物と言えるでしょう。

もう一度検索