カール3世フィリップ (プファルツ選帝侯)

カール3世フィリップ：プファルツ選帝侯の生涯と時代

カール3世フィリップ（Karl III. Philipp, 1661年11月4日 - 1742年12月31日）は、18世紀初頭のプファルツ選帝侯であり、その治世（1716年 - 1742年）はプファルツ選帝侯領の歴史において重要な転換期となりました。彼は、フィリップ・ヴィルヘルムとヘッセン＝ダルムシュタット方伯ゲオルク2世の娘エリーザベト・アマーリア・マグダレーネの間に生まれた4男でした。彼の家族は、神聖ローマ皇帝レオポルト1世妃エレオノーレ・マグダレーネ、ポルトガル王ペドロ2世妃マリア・ソフィア、スペイン王カルロス2世妃マリア・アナ、パルマ公子オドアルド2世妃ドロテア・ゾフィーなど、ヨーロッパ各国の王侯貴族と姻戚関係にありました。

選帝侯としての治世

1716年、兄ヨハン・ヴィルヘルムが嗣子なくして亡くなったため、カール3世フィリップは選帝侯位を継承しました。彼は1720年に宮廷をハイデルベルクからマンハイムに移し、マンハイムを新たな政治と文化の中心地として発展させました。

後継者問題とプファルツ選帝侯家の終焉

カール3世フィリップの死去は、プファルツ選帝侯家にとって大きな転換点となりました。彼の死により、ノイブルク家系のプファルツ選帝侯家は男系が断絶し、外孫エリーザベト・アウグステの夫であるプファルツ＝ズルツバッハ家のカール4世フィリップ・テオドールが選帝侯位を継承することになりました。カール4世フィリップ・テオドールは、後にバイエルン選帝侯位も継承し、プファルツ選帝侯領とバイエルン選帝侯領は同君連合となりました。

結婚と家族

カール3世フィリップは生涯に3度の結婚をしました。

最初の結婚は1688年10月8日にベルリンで、ブランデンブルク辺境伯ルートヴィヒ（大選帝侯フリードリヒ・ヴィルヘルムの息子）の未亡人でポーランド・リトアニア共和国の女子相続人である公女ルドヴィカ・カロリナ・ラジヴィウとでした。ルドヴィカとの間には、レオポルディーネ・エレオノーレ・ヨゼフィーネ（1689年 - 1693年）、マリア・アンナ（1690年 - 1692年）、エリーザベト・アウグステ・ゾフィー（1693年 - 1728年）、そして1695年3月22日に生まれた男子の4人の子供をもうけましたが、成長したのは娘のエリーザベト・アウグステ・ゾフィーのみでした。エリーザベト・アウグステ・ゾフィーは1717年に分家筋のプファルツ＝ズルツバッハ公子ヨーゼフ・カールと結婚し、初代バイエルン王マクシミリアン1世の祖母となりました。
1701年12月15日、カール3世フィリップはクラクフで、再びポーランド・リトアニア共和国の女子相続人である公女テレサ・ルボミルスカと再婚しました。しかし、テレサとの間に生まれた娘2人（テオフィラ・エリーザベト・フランツィスカ・フェリーツィタス（1703年 - 1705年）とアンナ・エリーザベト・テオフィラ（1709年 - 1712年））はいずれも夭折しました。
* 1728年、彼はフィリップ・ヴィルヘルム・フォン・トゥルン・ウント・タクシス伯爵の娘ヴィオランテ・テレジア（1683年 - 1734年）と結婚しました。ヴィオランテは1701年に帝国伯爵位に叙されたばかりのアウクスブルク系統のトゥルン・ウント・タクシス家出身であり、この結婚は貴賤結婚と見なされました。ヴィオランテは1733年に神聖ローマ皇帝カール6世から公女の称号を認められましたが、夫妻の間に子供は生まれませんでした。

カール3世フィリップの治世は、プファルツ選帝侯領の政治、文化、そして後継者問題において重要な意味を持つ時代でした。

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