外孫

外孫（がいそん）

外孫とは、父系制の家族制度において、他家に嫁いだ娘が生んだ子を指します。「そとまご」とも呼ばれます。戦後の日本では、内孫（嫡孫）と外孫の区別はあまり意識されなくなり、外孫という言葉自体が用いられることも少なくなりました。

相続関係

皇室における外孫

皇室においては、原則として外孫による家督の相続は認められていません。ただし、例外として、嫁いだ相手が親王や王であった場合には、外孫にも相続権が発生する可能性があります。しかし、現行の皇室典範では、内親王や女王が他の宮家の親王や王に嫁いで男子を得たとしても、その男子（外孫）は生家の家督を相続することはできません。もし生家に嫡男がいない場合、その家は断絶となります。

ただし、救済措置として、以下の道が開かれています。

母の生家の家名を再び賜り、家を再興する。
母の生家の別名を名乗り、祭祀を継承する継承宮家を興す。

公家・武家における外孫

公家や武家においては、外孫による相続は珍しいことではありませんでした。特に、有力な家柄を維持するために、積極的に外孫を養子に迎え、家督を継がせる例が見られました。

以下は、外孫が家督を相続した著名な例です。

近衛信尋: 皇別摂家である近衛家の祖。後陽成天皇の第七皇子として生まれましたが、近衛家の養子となり、家督を継承しました。
吉川元春: 戦国大名である吉川家の当主。毛利元就の次男として生まれましたが、吉川家の当主であった吉川興経に実子がいなかったため、養子となり家督を継承しました。
上杉綱憲: 米沢藩主上杉家の当主。高家旗本吉良義冬の子として生まれましたが、上杉綱勝に嗣子がいなかったため、その室（上杉綱勝の妹）の実子として迎えられ、家督を継承しました。
黒田継高: 福岡藩主黒田家。黒田継高は男子に恵まれず、宮内、重政、長経の男子を全て失った後、外孫による相続を考えていたことが伝えられています。

これらの例からわかるように、公家や武家においては、家の存続を重視し、血縁関係だけでなく、家の格式や政治的な判断に基づいて外孫を後継者に選ぶことがありました。

養孫との違い

外孫と似た言葉に「養孫」があります。養孫は、血縁関係のない人物を養子として迎え、孫とすることを指します。外孫は、血縁関係があるものの、家督を継ぐ際には養子縁組が必要となる場合があります。外孫と養孫は、いずれも家の存続のために重要な役割を果たしました。

まとめ

外孫は、父系制家族制度における血縁のつながりを示す言葉であり、相続においては複雑な意味合いを持ちます。皇室、公家、武家それぞれの事例を通して、外孫の役割と重要性について理解を深めることができます。

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