ガイアナの行政区画

ガイアナの行政区画

ガイアナは、10の州（Region）と146の地方自治体からなる2層構造の行政区画を持っています。

州（Region）

州はガイアナの第一級行政区画であり、中央政府から権限を委譲された州開発評議会（Regional Development Council, RDC）によって統治されています。RDC議員の任期は5年で、管轄区域内の福祉サービスの提供や近隣民主評議会の監督といった義務を負っています。州は1980年に設置されました。

各州には固有の名称が付与されていますが、地方自治・地域開発省や統計などの行政においては、単に数字で呼ばれることもあります。例えば、バリマ＝ワイニ州は「第1州（Region 1）」とも呼ばれます。

領土問題

ガイアナは、隣国との間で領土問題を抱えています。

エセキボ地域: エセキボ川の西側はエセキボ地域と呼ばれ、ガイアナの6つの州（バリマ＝ワイニ州、クユニ＝マザルニ州、エセキボ諸島＝西デメララ州、ポメローン＝スペナーム州、ポタロ＝シパルニ州、アッパー・タクトゥ＝アッパー・エセキボ州）が含まれます。ベネズエラは、この地域（159,500平方キロメートル、ガイアナの国土の71.5%に相当）の領有権を主張しています。
ティグリ地域: 東ベルビセ＝コレンティネ州の南東部にあるティグリ地域（ニューリバー・トライアングルとも呼ばれる、面積15,600平方キロメートル）は、スリナムが領有権を主張しています。

下位行政区画

1998年の地方自治法に基づき、州の下には合計146の地方自治体が設置されています。地方自治体は、以下の3種類に区分されます。

1. 基礎自治体（市・町）

基礎自治体（Municipality）は、州と同様に独自の首長と任命された諮問委員会で構成され、財政やインフラ開発について裁量権を持ちます。一部の基礎自治体は議会を有しています。2016年までは地方自治・地域開発省の監督下にありました。

議会あり
市（City）：ジョージタウン（定数30）- 同国で唯一の市
町（Town）：アンナ・レジーナ（15）、コリバートン（15）、リンデン（18）、ニューアムステルダム（15）、ローズ・ホール（12）
議会なし
町：バルティカ、マバルマ、レセム、マディア

2. 近隣民主評議会（NDC）

近隣民主評議会（Neighbourhood Democratic Council）は、単独または近隣のコミュニティが合同で結成する地方自治体です。規模に応じて12人から30人ほどの議員で構成されるNDCによって統治されます。財政と事業の委員会を設置することができます。合計65のNDCが存在し、人口密集地に多く設置される傾向があります。沿岸部のエセキボ諸島＝西デメララ州、デメララ＝マハイカ州、マハイカ＝ベルビセ州、東ベルビセ＝コレンティネ州の4州に多く設置されています。

一方、内陸部の州にはほとんど設置されておらず、ポタロ＝シパルニ州にはNDCが存在せず、RDCがその役割を代行しています。

バリマ＝ワイニ州 - 2
ポメローン＝スペナーム州 - 5
エセキボ諸島＝西デメララ州 - 14
デメララ＝マハイカ州 - 15
マハイカ＝ベルビセ州 - 10
東ベルビセ＝コレンティネ州 - 16
クユニ＝マザルニ州 - 1
ポタロ＝シパルニ州 - 0
アッパー・タクトゥ＝アッパー・エセキボ州 - 1
アッパー・デメララ＝ベルビセ州 - 1

3. アメリカ先住民村評議会（AVC）

アメリカ先住民村評議会（Amerindian Village Council）は、アメリカ先住民によって統治される民族自治体です。合計75のAVCが存在します。

行政区画の変遷

イギリス領時代
1838年：イギリス領ギアナは、かつての植民地の境界を基に3つの郡（カウンティ）に分割（ベルビセ、デメララ、エセキボ）。
1958年：郡は9つの県（District）に置き換え（東ベルビセ県、東デメララ県、エセキボ県、エセキボ諸島県、マザルニ＝ポタロ県、北西県、ルプヌニ県、西ベルビセ県、西デメララ県）。
独立後
1966年：独立後も9県制を維持。
1971年頃：6県へ再編（東ベルビセ＝コレンティネ県、東デメララ＝西ベルビセ海岸県、マザルニ＝ポタロ県、北西県、ルプヌニ県、西デメララ＝エセキボ海岸県）。
1980年：6県から10州（Region）に再編。

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