ガオグライ・ゲーンノラシン

ガオグライ・ゲーンノラシン：逆境を乗り越えたムエタイ戦士

ガオグライ・ゲーンノラシン（Kaoklai Kaennorsing）は、1983年9月13日生まれ、タイのコーンケーン県出身の男性ムエタイ選手、キックボクサー、そしてプロボクサーです。本名をアーティッド・ダムカムといいます。彼は元WBCムエタイ世界ライトヘビー級王者であり、その実績と個性的なキャラクターで多くのファンを魅了しました。

幼少期の苦難とムエタイとの出会い

幼少時代、ガオグライはいじめを受ける日々を送っていました。そんな状況から抜け出すため、彼はムエタイの世界に足を踏み入れます。極貧の中で自身を育ててくれた両親への感謝の思いを胸に、彼はリングで戦い続けました。恩返しをしたいという強い気持ちが、彼の原動力となっていたのです。

K-1での躍進と「マトリックス」の異名

2004年、ガオグライはチャンプア・ゲッソンリット以来となるタイ人選手としてK-1 WORLD GP決勝トーナメントに進出し、ベスト4という成績を収めました。この活躍で得た賞金で、彼は母国タイに土地を買い、両親にプレゼントしました。彼はさらに家を建てることを目標に、リングでの活躍を誓いました。引退後の夢は、小さな食堂を開くこと。好きなスポーツはセパタクローで、苦手なものはヘビという意外な一面も持ち合わせています。

K-1 WORLD GPシリーズでは、体格差をものともしない戦いぶりで一躍有名になりました。当初はMAXシリーズへの参戦を希望していた彼は、減量に挑戦し、念願のMAXの大会で佐藤嘉洋と対戦しましたが、判定負けを喫しました。この経験から、「減量で苦しむくらいならヘビー級で闘ったほうがいい」と語り、その後も重量級を主戦場としています。しかし、スランプに陥り、黒星が目立つ時期もありました。

2004年9月25日、K-1 WORLD GP 2004 開幕戦では、アレクセイ・イグナショフに延長判定勝ちを収め、決勝トーナメント進出を決めました。この試合中、ハイキックを紙一重でかわすために見せた独特の体勢が、映画『マトリックス』の有名なシーンに似ていると話題になり、以降「マトリックス」という異名で呼ばれるようになりました。

タイトル獲得と現在

2010年3月14日、ガオグライはマグナム酒井とWBCムエタイ世界ライトヘビー級王座を賭けて対戦し、3Rに肘打ちでKO勝利を収め、見事王座を獲得しました。しかし、現在はK-1はおろか日本のリングからも遠ざかり、シンガポールでインストラクターとして活動しています。

戦績と獲得タイトル

キックボクシング（K-1、ムエタイを含む）の戦績は、133戦88勝40敗15KO5分です。

主な獲得タイトルは以下の通りです。

ラジャダムナン・スタジアム認定ウェルター級王座
ラジャダムナン・スタジアム認定スーパーウェルター級王座
K-1 WORLD GP 2004 in SEOUL 優勝
IKKCムエタイ世界クルーザー級王座
* WBCムエタイ世界ライトヘビー級王座

ガオグライ・ゲーンノラシンは、逆境を乗り越え、ムエタイとキックボクシングの世界で輝かしい足跡を残しました。彼の戦いは、多くの人々に勇気と希望を与え続けています。

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