ガストネ・ネンチーニ

ガストネ・ネンチーニ：不屈のイタリアンクライマー

ガストネ・ネンチーニ（Gastone Nencini、1930年3月1日 - 1980年2月1日）は、イタリア、バルベリーノ・ディ・ムジェッロ出身の伝説的な元自転車競技選手です。その優れたクライミング能力と不屈の精神で、数々の勝利を飾りました。

輝かしいキャリア

ネンチーニは、アマチュア時代からその才能を発揮し、1953年の世界自転車選手権・アマチュア個人ロードレースで2位に入賞。同年、プロに転向し、レニャーノと契約を結びました。

プロとしてのキャリアは、目覚ましい成功の連続でした。

1955年：ジロ・デ・イタリアで総合3位、山岳賞を獲得。さらに、区間2勝（第9、12ステージ）を挙げる活躍を見せました。
1956年：ツール・ド・フランスで区間1勝（第22ステージ）を記録。
1957年：ブエルタ・ア・エスパーニャでは総合9位。そして、ジロ・デ・イタリアでは、ルイゾン・ボベやエルコーレ・バルディーニといった強豪を抑え、見事総合優勝を果たしました。同年、ツール・ド・フランスでも総合6位に入り、山岳賞を獲得。さらに、区間3勝（第1、10、18ステージ）を達成。チャレンジ・デスグランジュ＝コロンボでは3位に入りました。

特筆すべきは、1957年にグランツール（ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャ）のいずれかを制覇した上で、全て完走したこと。この偉業は、2023年のセップ・クスまで66年間も達成されていませんでした。

1958年：ジロ・デ・イタリアで総合5位、区間2勝（第10、18ステージ）。ツール・ド・フランスでも総合5位、区間1勝（第19ステージ）を記録。
1959年：ジロ・デ・イタリアで総合10位、区間1勝（第9ステージ）を挙げました。
1960年：ジロ・デ・イタリアで総合2位、区間2勝（第5、10ステージ）。

1960年ツール・ド・フランス：激闘と悲劇

1960年のツール・ド・フランスは、ネンチーニにとって特別な大会となりました。第1ステージ後半でマイヨ・ジョーヌを獲得し、ピレネー越えステージでは、フランスのロジェ・リヴィエールと激しい競り合いを繰り広げました。しかし、アルプス越え区間を前にした第14ステージで、リヴィエールが転落事故に遭い、選手生命を絶たれるという悲劇に見舞われました。リヴィエールのリタイア後、ネンチーニはベルギーのジャン・アドリアンセンをアルプス越えステージで突き放し、最終的にはグラツィアーノ・バッティスティーニに5分2秒差をつけて総合優勝を果たしました。

ネンチーニは1965年に引退しましたが、その功績は永遠に語り継がれるでしょう。

外部リンク

www.gastonenencini.it (イタリア語)
ガストネ・ネンチーニ - サイクリングアーカイヴス (英語)

もう一度検索