ガビエネの戦い

ガビエネの戦い

ガビエネの戦い（英: Battle of Gabiene）は紀元前316年に現在のイランでエウメネスとアンティゴノスの間で行われた重要な戦闘である。この戦いはディアドコイ戦争の一環であり、戦略や指揮官の巧妙な策などが歴史に名を刻むこととなった。

背景

前年のパラエタケネの戦いは引き分けに終わった。この結果、冬になると両軍はそれぞれの冬営に入ることとなった。しかし、エウメネス軍は各隊を分散させていたため、アンティゴノスはその隙を突こうと考えた。彼は水のない砂漠地帯を密かに通過し、敵に奇襲をかける計画を立てていた。

しかし、寒さのためにアンティゴノス軍の兵士たちは薪を焚いて暖を取り、その姿を近隣の住民がエウメネスに知らせることとなった。これによってエウメネスは迫り来る敵の接近を察知し、部下たちに戦闘準備を整える時間を稼ぐために指示を出した。彼自身は僅かな軍勢を率いて敵の目を引くために行動した。

布陣

戦闘に向けて、それぞれの軍は独自の布陣を整えた。アンティゴノス軍は両翼に騎兵を配置し、中央に重装歩兵と戦象を並べた。対して、エウメネス軍は自ら主導権を握るため精鋭騎兵を左翼に配置し、右翼の騎兵にはピリッポスに指揮を任せていた。

彼の軍勢は歩兵36700人、騎兵6000騎、戦象114頭を擁しており、両軍の兵力バランスは微妙であった。会戦における布陣は各指揮官の思惑が反映された戦略的なものであり、その後の戦況に大きな影響を与えることとなった。

会戦の開始

戦闘の始まりは、エウメネス軍の将軍が騎兵を敵の前面に送り出すことであった。彼は敵を挑発し、士気を高めた。その後、エウメネス自身は攻撃を命じ、左翼の戦象部隊と騎兵部隊が次々と突撃を開始した。これに対してアンティゴノスは敵の補給ラインを襲おうとしたが、早くもエウメネス軍の圧力に直面することになった。

両軍の攻撃と防御の中でエウメネス軍は中央の歩兵部隊で優位に立ち、銀楯隊の活躍が目立った。しかし、アンティゴノス军も冷静に対応し、右翼からエウメネス軍の左右に手を打った。エウメネス軍は一時的に押し戻されるも、中央と右翼の連携で総反撃を狙ったが、状況が進展する前に撤退を決意せざるを得なかった。

戦闘後

戦闘を終えた後、エウメネス軍は300人の死者に対し、アンティゴノス軍は5000人以上を失うという大きな損害を受けていた。しかし、奪われた輜重隊の中には自身の財産が含まれている銀楯隊の兵士たちの家族がいた。このことから、彼らの間に不満が募り、エウメネスを見限り、アンティゴノスと取引して彼を引き渡すことを選択した。

その後、エウメネスはアンティゴノスに捕まり、最終的には処刑された。彼の敗北は、アンティゴノスが戦場での知略を重視し、その結果彼の勢力がさらに強大化する契機となった。

この戦いの結果、エウメネスの同盟者たちは彼の元を去り、アンティゴノスはディアドコイの中での権力を確立していくこととなる。彼らの勢力が一層強まる中、他の指揮官たちも合従連衡を図るようになった。ガビエネの戦いは、その後の歴史に大きな影響を与える出来事であった。

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