ガブリエル・デ・ボルボーン

ガブリエル・デ・ボルボン・イ・サホニアの生涯

ガブリエル・デ・ボルボン・イ・サホニアは、1752年5月12日にナポリ王およびシチリア王であるスペイン王カルロス3世の四男として誕生しました。彼のフルネームは、ガブリエル・アントニオ・フランシスコ・ハビエル・フアン・ネポムセーノ・ホセ・セラフィン・パスクアル・サルバドールです。この長ったらしい名前は、当時のスペイン王室の伝統を反映しています。彼は、母マリア・アマリアと共にナポリ王国で幼少期を過ごしました。

7歳のとき、両親と次兄カルロス（後のスペイン王カルロス4世）、姉マリア・ルイサ、弟アントニオと共に、マドリードに移住します。この移住は、当時のスペイン王フェルナンド6世の死去に伴うもので、父カルロスがスペイン王位を継承したためでした。ナポリには、知的障害によって王位継承者の地位を失った長兄フェリペと、父から早くに王位を継承した三兄フェルナンドが残されました。

ガブリエルは兄たちの中で特に才能に恵まれており、学問においても音楽においても優れた成績を収めました。彼は非常に教養が深く、特に古典文学に興味を持っていました。サッルスティウスやマエケナスの著作を優れたスペイン語訳で残したことでも知られています。また、音楽家アントニオ・ソレールの優れた弟子でもあり、エル・エスコリアル教会でコンサートを行うなど、音楽活動にも精力的に取り組みました。

1771年には、建築家フアン・デ・ビジャヌエバに依頼し、エル・エスコリアル修道院内にカシータ・デル・インファンテという居館を建設させました。この居館は、彼とその家族の生活の場として利用されることになります。

1785年、ガブリエルは従姉であるポルトガル女王マリア1世の娘、マリア・アナ・ヴィトリアと結婚し、3人の子供を授かりました。彼は家族と共にカシータ・デル・インファンテで平穏な生活を送っていましたが、1788年に悲劇が起こります。妻ヴィトリアが19歳で亡くなり、その一週間後には未熟児の息子カルロス・ホセも亡くなってしまいます。

この痛ましい出来事の後、ガブリエル自身も天然痘にかかり、1788年11月23日に逝去しました。彼の遺体はエル・エスコリアル修道院に埋葬され、王族としての生活を全うしました。その死は父王カルロス3世に大きな衝撃を与え、翌月には彼自身もこの世を去っています。

ガブリエルとヴィトリアの子供たちの内、長男ペドロ・カルロスだけが生き残りました。ペドロ・カルロスは母方の祖母に引き取られ、ポルトガル王子の称号を与えられました。ガブリエルの短い生涯は、教育や文化、そして家族の絆が複雑に絡み合ったものであり、歴史的な背景の中で彼の影響力を示しています。

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