ガリ (オーストラリアの島)

ガリ（K’gari）：オーストラリアの美しい砂の島

ガリ（K’gari）はオーストラリアのクイーンズランド州に位置する世界で最も大きな砂の島です。この島は1992年にユネスコの世界遺産として登録され、世界中の訪問者を惹きつけています。ブリズベンの北約300kmに位置し、南北123km、幅25kmのサイズを持つこの島は、最高280mの高さに達する美しい自然景観が広がっています。島全体はグレート・サンディ国立公園として保護され、自然愛好家や冒険者に最適な場所です。

近年、2023年6月7日に正式に「フレーザー島」という名前から先住民の名称である「ガリ」に改名されました。ガリは、アボリジニのバッチュラ族によって「楽園」を意味する名称として名付けられました。この命名の変更は、バッチュラ族の取り組みによるもので、2017年には部分的に「ガリ（フレーザー島）」として認識され、世界遺産の登録名も2021年に変更されました。

島の歴史

フレーザー島は、キャプテン・ジェームス・フレーザーの妻の名前に由来するとされており、彼女が乗った船がこの島に難破し流れ着いたことから名付けられました。しかし、この故事には多くのバリエーションがあり、正確な情報は不明です。かつては600〜1000人のアボリジナルピープルが住んでいましたが、入植者の影響で20世紀初頭にはその集団は消えてしまいました。現在、島には少数の観光従事者が定住しています。

ガリの浜には、かつての客船マヘノ号の残骸が打ち上げられており、多くの観光客が訪れるスポットとなっています。この船は1905年に建造され、第一次世界大戦中には病院船としても使用されました。1935年にサイクロンに遭い、現在はその姿を見ることができます。

自然環境と動植物

この島は砂でできているため、雨水が地中に浸透しやすく、湖沼が生じにくい特徴があります。しかし、それにもかかわらず、島内には淡水湖が存在し、特に有名なマッケンジー湖はその透明度で訪れる人々を驚かせています。この島にある淡水湖は、世界の淡水砂丘湖の約半分を占めています。石英の砂が多く、酸性の水質を持つため、髪や宝石の洗浄にも利用されます。また、金属や化学薬品を使うことが推奨されないため、自然の美しさを保つために注意が必要です。

ガリでは350種以上の野鳥が確認されており、特に渡り鳥の中継地点としても重要です。また、絶滅が危惧される生物も多く生息しており、ディンゴの純血種は島内で見られます。ディンゴとの交雑を防ぐために、島への犬の持ち込みは厳しく禁止されています。この島は観光客との偶発的な事故が報告されており、ディンゴの保護管理も行われています。

観光と交通

観光客にとって、ガリはキャンプ、ブッシュウォーキング、釣り、水泳などのアクティビティを楽しむ場所として人気があります。特にハービー湾では、ザトウクジラやイルカの観察ができるスポットとして知られています。

島へのアクセスは、主にカーフェリーや航空便で行うことができ、法律に基づいて4WD車だけが島内を運転可能です。近隣の町から多くのツアーが出ており、個人訪問者も多く賑わっています。

世界遺産としての価値

ガリはその自然美や生態系の重要性から世界遺産として認知されています。登録基準として、「ひときわすぐれた自然美」と「重要な生態的プロセスを示す顕著な見本」が含まれています。これからも多くの人々にその魅力と珍しい生態系を未来に伝えていくことでしょう。

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