ガリア・アクィタニア

ガリア・アクィタニア

ガリア・アクィタニアは、ローマ帝国の属州の一つであり、現在のアキテーヌ地方、すなわちフランス南西部に相当します。地理的には、東にガリア・ルグドゥネンシス、南にガリア・ナルボネンシス、西にヒスパニア・タッラコネンシスといった他のローマ帝国の属州と隣接していました。

歴史

この地域は、元来ケルト人、特にガリア人が居住しており、ローマとは異なる独自の文化圏を形成していました。アクィタニアという名称は、この地に住んでいたアクィタニ族に由来します。この地が歴史の表舞台に登場するのは、ガイウス・ユリウス・カエサルによるガリア戦争です。カエサルの侵攻により、アクィタニアはローマの属州となりました。

アウグストゥスの治世下では、アクィタニアは皇帝属州となり、皇帝の代理としてプロプラエトルが派遣され統治を行いました。特筆すべきは、このプロプラエトルは軍隊を伴わず任地に赴いたという点です。アクィタニア属州の州都は、現在のサントにあたるメディオラヌム・サントヌムに定められました。

ディオクレティアヌス帝の時代には、行政区画の再編が行われ、ガリア・アクィタニアはアクィタニア・プリマ、アクィタニア・セクンダ、アクィタニア・テルティアの3つに分割されました。これにより、より効率的な統治を目指したと考えられます。

西ゴート王国の成立とその後

5世紀初頭の418年、ローマ皇帝ホノリウスは西ゴート族を「友邦者」として遇し、アクィタニアを彼らの永住の地として与えました。この出来事が、後の西ゴート王国の成立へと繋がります。

西ローマ帝国が滅亡した後、西ゴート族はトロサ（現在のトゥールーズ）を拠点として勢力を拡大し、ピレネー山脈を越えてヒスパニアへと侵攻しました。しかし、507年にはフランク族との戦いに敗れ、その勢力は後退しました。629年にメロヴィング朝のクロタール2世が亡くなると、フランク王国は彼の息子たちによって分割され、アクィタニアは西フランク王国の基礎の一部となりました。

このように、ガリア・アクィタニアは、ローマ帝国の属州として、また西ゴート王国やフランク王国の勢力争いの舞台として、複雑な歴史を歩んできました。

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