ガリニュール

ガリニュール (1883年 - 1912年) は、イギリスの競走馬にして、種牡馬として名を馳せたサラブレッドです。競走馬としての活躍は目覚ましいものではありませんでしたが、種牡馬としては類まれな成功を収めました。

その最大の功績は、名牝プリティーポリーを父として送り出したことにあります。プリティーポリーはイギリス牝馬クラシック三冠を制覇し、牡馬相手に15連勝という偉業を達成しました。この活躍により、ガリニュールは1904年と1905年の英愛リーディングサイアーの栄冠に輝いたのです。これは、当時の競走界においてセントサイモン系が台頭していた時代において、特筆すべき偉業と言えます。

ガリニュール自身の競走成績は、21戦して5ハロン戦で3勝を挙げたのみという、華々しいものではありませんでした。重賞競走を制したこともなく、2歳時にリステッドレースであるナショナルブリーダーズプロデュースステークスを勝った程度でした。しかし、種牡馬としての才能は、その平凡な競走成績をはるかに凌駕するものでした。

ガリニュールの父は、アイソノミー (Isonomy)です。アイソノミーは長距離を得意とし、アスコットゴールドカップ、グッドウッドカップ、ドンカスターカップという三大カップレースを制覇した名馬でした。種牡馬としても大成功を収め、コモンとアイシングラスという2頭のイギリスクラシック三冠馬を輩出しました。その子孫はアイソノミー系と呼ばれ、英国競馬史に大きな足跡を残しました。しかし、同時代のハンプトン、ガロピン、セントサイモンといった強豪種牡馬の存在により、リーディングサイアーの座を射止めることはありませんでした。

一方、ガリニュールの母であるMoorhenは、19号族(19-c)という牝系に属します。この牝系からは、2004年生まれのカーリンなど、優れた競走馬が輩出されています。母方の血統も、ガリニュールの成功に大きく貢献したと考えられます。

ガリニュールの産駒は、イギリスのみならず世界中に広がり、多くの活躍馬を輩出しました。その中でも、ガロンは日本に輸入され、当時のチャンピオン決定戦であった連合二哩の勝ち馬を輩出するなど、日本競馬にも大きな影響を与えました。

このように、ガリニュールは競走馬としては平凡な成績でしたが、種牡馬として類まれな成功を収めたサラブレッドとして、競馬史にその名を刻んでいます。その成功は、父アイソノミーの優れた血統、母Moorhenの優れた牝系、そして何より、名牝プリティーポリーという傑出した産駒の存在によるところが大きいと言えるでしょう。彼の血統は、現在でも世界中のサラブレッドの血統に受け継がれ、その影響は絶大なものがあります。

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