ガルシアの首

『ガルシアの首』

『ガルシアの首』（原題: Bring Me the Head of Alfredo Garcia）は、1974年に公開されたアメリカの映画で、サム・ペキンパー監督の手によるアクション作品です。この映画は、大地主の愛娘の妊娠というセンセーショナルな事件から始まります。父親の名前を明かさないテレサは、父に痛めつけられ、『アルフレド・ガルシア』という男の名前を吐き出します。彼女の父は、ガルシアを捕まえた者に100万ドルもの賞金を出すと宣言します。この事件をきっかけに、賞金稼ぎたちのを巻き込んだ激しい争いが繰り広げられます。

概要

本作の原題は「アルフレド・ガルシアの首を持ってこい」というものであり、その内容は一般的な映画のテーマとはかけ離れています。このため、アメリカ国内では興行的に失敗に終わりました。しかし、サム・ペキンパー監督は自らこの映画を誇りに思い、独自の嗜好が色濃く反映された作品とも評されています。ペキンパーは、ハイスピードカメラによるスローモーションや激しい銃撃戦を駆使し、暴力表現に特化したスタイルを築き上げました。この映画は、『戦争のはらわた』と並ぶ、ペキンパー自身が編集権を持った数少ない作品の一つです。彼は巧みな編集を通じて、鋭いアクションシーンを作り上げています。

ストーリー

物語の中心は、ベニーという名のしがないピアノ弾きです。彼は、情婦のエリータとともに、賞金を獲得するためにガルシアの遺体を求め、メキシコに向かいます。道中には、凶暴な男たちとの遭遇など波乱万丈な展開が待ち受けています。ようやくガルシアの故郷にたどり着くベニーですが、思い描いていた通りには事が運びません。彼はガルシアの墓から遺体を掘り起こし、首を切り落とそろうとした瞬間、何者かに攻撃されます。ベニーは気絶し、その間にエリータが命を落とし、ガルシアの首も奪われてしまいます。愛する者を失ったベニーは、奪われた首を取り戻すために立ち上がります。

キャストと評価

本作は、公開直後のアメリカでは評判が芳しくなく、すぐに上映が打ち切られました。また、暴力描写や墓荒らしのシーンが問題視される国もありました。一方で、日本では高い評価を得て、興行的にも成功を収めた作品です。特に、敗北や失敗をテーマにしたこの映画には、今なお熱狂的なファンが存在します。

ペキンパーの死後、この作品の評価は少しずつ向上し、著名な映画評論家であるロジャー・イーバートは『ガルシアの首』を自身の「偉大な映画」の中に含めました。また、北野武など多くの映画関係者からも絶賛されており、今ではカルト的な人気を誇る作品となっています。さらに、映画美術家の種田陽平や俳優の長塚京三、アニメ監督の渡辺信一郎など、多くのクリエイターから評価されています。

この映画はサム・ペキンパーの独自の位置付けを確立するきっかけともなっており、観る者に強烈な印象を与える作品として長く語り継がれています。

もう一度検索