戦争のはらわた

戦争のはらわた (原題: Cross of Iron)

『戦争のはらわた』は、1977年に公開されたイギリスと西ドイツの共同制作による戦争映画で、監督はサム・ペキンパーが担当しています。この作品は、第二次世界大戦を舞台にしたストーリーであり、特にドイツ軍の視点から語られる点が特徴的です。映画の原題である『Cross of Iron』は、ドイツ軍の名誉を示す鉄十字勲章を指しています。上映時間は133分です。

この映画は、ペキンパーのスタイルである暴力描写とスローモーション撮影の手法を駆使しており、視聴者だけでなく制作側にも強い印象を与えました。日本での公開時には「戦争は最高のバイオレンスだ」という衝撃的なキャッチコピーが使用されました。

ストーリーの概要

物語は1943年、東部戦線のクリミア半島近くのタマン半島にあるクバン橋頭堡を舞台にしています。ソビエト軍と対峙するドイツ軍の小隊に、新たにシュトランスキー大尉が志願してきます。彼はプロイセン貴族の出身で、鉄十字勲章を得ることへの強い執着心を持っています。シュトランスキーは、同僚のシュタイナー伍長や上官であるブラント大佐との間で対立しながら、自身の名誉のために行動します。

彼はシュタイナーを曹長に昇格させることで、彼を味方に引き込もうとしますが、シュタイナーはこの提案を冷淡に受け流します。その後、シュタイナーはソ連軍の少年兵捕虜を逃がそうとするも、誤射の結果、少年兵が死亡してしまいます。この出来事が彼の心にも大きな影響を及ぼし、戦争の厳しさと無理難題の中で彼らの運命は次第に暗くなります。

シュトランスキーは敵の攻撃に直面した際、指揮を放棄して地下壕に閉じ込められます。その一方で、シュタイナーは傷ついた同僚を支え、戦闘を続けます。戦後に帰隊した彼は、一級鉄十字章を受け取ったが、シュトランスキーの前でその勲章を軽視します。一方、シュトランスキーはマイヤー少尉の手柄を奪う形で鉄十字章を得ようとしますが、シュタイナーは彼の求めを無視します。

戦闘と結末

再度ソ連軍の猛攻が始まる中、シュトランスキーは彼の上司からシュタイナーに対して密告するよう命令されますが、シュタイナーはこれを拒否します。孤立した彼らの小隊は、迫り来る危機を乗り越え、T-34戦車への肉薄攻撃を敢行することになり、奇跡的に敵の包囲から脱出します。

その後、シュタイナーたちは敵の女性兵士部隊に遭遇しながらも、なんとか仲間に合流しようとします。しかし、シュトランスキーの部下による誤った判断で発砲され、混乱が生じます。シュタイナーは部下を救うために奮闘し、最終的にシュトランスキーとの対決を迎えます。

物語は、シュタイナーがシュトランスキーとの間での確執を解消し、一緒に戦闘に飛び出す場面で締めくくられます。最終的に、彼らの姿は戦争の不条理と無力感を映し出し、ベルトルト・ブレヒトの作品からの引用で一片の希望を残して物語は幕を閉じます。

映像とテーマ

本作は、戦争のリアリズムを重視する映画として評価されています。特に、ナチス体制下でのドイツ兵士の苦悩や戦争の無情さを描写した点が際立ちます。また、映画には時折コメディ的な要素も盛り込まれており、シュトランスキーの不器用さが観客に笑いをもたらします。

キャストと製作

この映画には、英米の俳優が多く起用されていますが、特にドイツ出身のマクシミリアン・シェルやセンタ・バーガーも登場しています。サム・ペキンパーは、映画業界で著名な監督であり、数々の名作を残しています。『戦争のはらわた』もその一部であり、戦争映画における新たな視点を切り開いた作品と言えます。

多くの映像ソフトとしてリリースされており、それぞれ異なる仕様や特典が付随しています。映画の魅力は、視覚的表現やテーマだけでなく、緊張感にあふれた展開にあります。

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