ガンバレル型

ガンバレル型核兵器：初期の核兵器技術とその課題

ガンバレル型核兵器は、核兵器の構造様式の一つであり、別名「広島型」とも呼ばれています。その構造は、砲身状の装置を用いて核分裂反応の連鎖反応を起こすというシンプルなものです。臨界量に達する核物質を2つに分割し、砲身の両端に配置。火薬の力で一方の核物質を他方に激しく衝突させることで、臨界状態に到達させ、核爆発を引き起こします。この方式は「砲身型」や「ガン・タイプ」とも呼ばれ、核兵器開発において初期から用いられてきた方法の一つです。

1945年、アメリカ合衆国が広島に投下した原子爆弾「リトルボーイ」は、このガンバレル型を採用した代表的な例です。インプロージョン型と比較すると、構造が比較的簡素であるため、製造が容易という特徴があります。砲身部は通常、鋼鉄などの堅牢な素材で作られており、核物質は中空または凹型のものを凸型の核物質に衝突させる方法が一般的です。理論上は、砲身の両端から核物質を発射する方式も考えられますが、現存する核兵器においては知られていません。

しかしながら、ガンバレル型にはいくつかの欠点があります。インプロージョン型と比べて、弾体が大型化しやすく小型化が困難である点、核反応の効率が低く、より多くの核物質を必要とする点などが挙げられます。さらに、安全性の面でも課題を抱えています。

インプロージョン型は、通常状態では臨界量に達しない程度の核物質を使用し、爆縮レンズの精密な制御によって核爆発を制御できます。そのため、事故発生時の核爆発を比較的容易に阻止できます。一方、ガンバレル型は、最初から臨界量を超える核物質を組み込んでいるため、核爆発事故を防止するには、核物質を厳重に隔離する必要があります。しかし、これは核物質を衝突させるというガンバレル型の基本原理に反するものであり、容易ではありません。衝撃や墜落、さらには海水浸入による中性子の減速などによって、核物質が衝突・近接し、意図しない核爆発事故が発生するリスクを常に抱えていると言えるでしょう。

これらのサイズ、効率、安全性の問題から、ガンバレル型核兵器は初期の核兵器開発において主に用いられ、その後はインプロージョン型が主流となりました。アメリカ合衆国では1950年代を最後に実用化されなくなり、イギリスやフランスでは採用されていません。南アフリカがかつて保有していた核兵器の中には、ガンバレル型があったと推測されています。

ガンバレル型は、初期の核砲弾にも用いられました。これは、初期のインプロージョン型では爆縮レンズの形状上の制約から直径を小さくすることが難しかったのに対し、ガンバレル型は比較的容易に直径を小さくし、砲弾形状にすることができたためです。

一般的に、ガンバレル型核兵器にはウラン235が使用されます。プルトニウム239を用いたものとしては、マンハッタン計画でMark 2（シンマン）が開発されましたが、プルトニウム240の含有による過早爆発の問題が解決できず、1944年に開発が中止されました。その後、プルトニウムを用いたガンバレル型は実用化に至っていません。

アメリカ合衆国のガンバレル型核兵器の例

Mark 1: 1945年生産開始。「リトルボーイ」として有名です。
Mark 2: 1944年開発中止。プルトニウム使用を計画していました。
Mark 8: 1951年生産開始。約40発が生産されました。
W9: 11インチ（280mm）の核砲弾。アメリカ陸軍で使用されました。1952年生産開始。
Mark 10: Mark 8の改良型。1952年開発中止。
Mark 11: Mark 8の改良型。1956年生産開始。
W19: 11インチ（280mm）の核砲弾。アメリカ陸軍に1955年配備開始。
W23: 16インチ（406mm）の核砲弾。アメリカ海軍に1956年配備開始。
W33: 8インチ（203mm）の核砲弾。アメリカ陸軍で1957年生産開始。
T4: 核爆破資材

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