ガンビア・ベイ (護衛空母)

USS Gambier Bay (CVE-73)

USS Gambier Bay（ガンビア・ベイ）は、アメリカ海軍の護衛空母で、カサブランカ級の19番艦です。艦名はアラスカ州のアドミラルティ島近くのガンビア湾に由来しています。この艦は、戦闘によって沈没した唯一のアメリカの空母として知られています。

艦歴

「ガンビア・ベイ」は、当初はAVG-73（航空機搭載護衛艦）に分類されていましたが、1942年8月にACV-73（補助空母）に改称され、さらに1943年7月15日にCVE-73（護衛空母）へと艦種が変更されました。1943年11月22日にワシントン州のカイザー造船所で進水し、1943年12月28日にヒュー・H・グッドウィン艦長の指揮の下で就役しました。この艦は、起工から完成までの期間がわずか171日と、記録的な速さで建造され、同造船所の年間建造目標を超える艦として「ボーナス・ベイビー」と称されました。

1944年の初め、「ガンビア・ベイ」は真珠湾とマーシャル諸島のマジュロ環礁に展開していたUSSエンタープライズへの航空機輸送任務に従事し、その後、艦載飛行隊VC-10を搭載して訓練を行いました。1944年5月31日にサイパン島の攻略に参加し、続いてテニアン島やエスピリトゥサント島攻略等に従事しました。その間、艦は多くの戦果を挙げました。

サマール沖海戦

「ガンビア・ベイ」の運命が変わるのは1944年10月25日、サマール島沖での海戦においてでした。この戦いでは、日本海軍の栗田艦隊と交戦し、艦は日本艦隊の艦砲射撃を受けました。最初の砲弾が艦の飛行甲板に命中し、火災が発生。やがて、日本艦隊の戦艦や巡洋艦からの猛攻を受けた「ガンビア・ベイ」は、相次ぐ命中弾と浸水により機関室が機能停止に追い込まれてしまいました。

午前8時40分、艦の艦橋および機関室に次々と砲弾が直撃し、艦は完全に停止。8時50分には艦長が総員退艦を命じ、9時11分に沈没しました。脱出した乗員の中には多くの兵士がいて、2日後に救助されたものの、最終的に133名が戦死する結果となりました。

サマール沖海戦での活躍に対し、「ガンビア・ベイ」は4つの従軍星章を受章し、殊勲部隊章も授与されました。彼女の戦いは、アメリカ海軍の士官候補生が必ず学ぶ教材として今も伝えられています。また、1944年にはポーランド海軍からの水兵に訓練機会を提供し、その戦没で35名のポーランド海軍士官も犠牲となりました。

現在、「ガンビア・ベイ」はフィリピンのサマール島沖、深海7000メートル以上に沈んでいるとされており、今もなおその捜索が続けられていますが、2022年の段階ではその姿は未発見のままとなっています。

関連文献や資料は多く、特に「ガンビア・ベイ」の行動に関する議論や研究が続いており、彼女の艦歴はアメリカ海軍の歴史の一部として重要な意味を持ち続けています。

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