キア・グラント

グラント（GRANTO） - 亜細亜自動車の大型トラック

グラントは、亜細亜自動車が製造した大型トラックであり、1995年から2000年までの間に販売されました。本トラックは亜細亜自動車が最後に手掛けたトラックで、技術提携により日野自動車の車両を基にした独自のデザインが特徴です。

初代グラントの誕生

1995年1月27日、亜細亜自動車工業は日本のメーカー、日野自動車と技術提携を結び、初代グラントを発売しました。このモデルは、日野自動車が誇るスーパードルフィンプロフィアの車体を基に開発され、亜細亜自動車の創立30周年を記念した特別な車両でもあります。初代グラントは、AMトラックの後継車種として登場し、大型トラック市場における立ち位置を確立しました。

モデルの多様性

1996年には、利便性を考慮して高級部品を削減し、コストを抑えたグラントプロが投入され、顧客層を広げるとともに、更に低価格な選択肢を提供しました。このモデルは、基本的な性能を維持しながら、経済性を重視したトラックとして評価されました。

1997年には、グラントに新たにFY系（8×4）23トンダンプ車が追加され、これが韓国製トラックとして初めてのU字型荷台を採用することになりました。この改良により、荷重支持力や耐久性が大幅に向上し、業務に向いたスタンダードなダンプ車としての地位を確立しました。

また、1997年2月にはトン・エンブレムがASIAからKIAに変更され、その商業ブランドを強化しました。これは、亜細亜自動車が進化し、起亜自動車としての新たなアイデンティティを確立するための重要なステップでした。

生産の終焉と撤退

1999年には亜細亜自動車工業が起亜自動車に吸収合併され、以降は起亜の商用部門がトラックの生産を担当することになります。しかし、2000年8月に自動車排出ガス規制に適応できず、加えてヒュンダイ・スーパートラックとの競争、日野自動車へのロイヤルティー問題などが重なった結果、後継車種なしで生産が終了しました。さらに、起亜自動車は大型トラック事業をスカニアの韓国法人に売却し、大型トラック市場から完全に撤退することになりました。

ラインナップの豊富さ

グラントには、多様なラインナップが用意され、カーゴ車やダンプ車、ミキサー車など、顧客のニーズに応じて選択できるバリエーションが存在しました。具体的には、FH系（4×2）8トン、FS系（6×4）13トン、FY系（8×4）19トンのカーゴ車や、さまざまなトン数のダンプ車、ミキサー車、セミトラクタがラインナップに含まれています。加えて、オプションでアンチロック・ブレーキ・システムや速度抑制装置などの先進的な機能も提供され、顧客の要望に応える形で装備されていました。

グラントは、その開発や生産の背景から、技術の進歩や市場の変化を反映した車両として、多くの運送業者や利用者に支持されました。しかし、環境意識の高まりや競争の激化により、幕を閉じることとなったこの大型トラックは、今なお多くの記憶に刻まれています。

もう一度検索