スカニア

スカニア：重工業の巨人

スカニア（Scania）は、スウェーデンに本社を置く重工業会社であり、トラック、バス、産業用ディーゼルエンジンを主力製品としています。フォルクスワーゲングループの一員であり、現在は同グループの商用車部門を担うトレイトン（Traton）の子会社として、グローバルに事業を展開しています。特に大型トラックの分野では、世界で3本の指に入る生産台数を誇り、その製品の95％が輸出向けという特徴を持っています。

スカニアのエンブレムである王冠をかぶったグリフィンは、創業地であるマルメ市の紋章に由来します。現在は、スウェーデン北部のセーデルテリエに本社を構えています。

スカニアの歴史

1900年、スカニアはMaskinfabriks AB Scaniaとしてマルメで創業しました。その2年後には初のスカニア製トラックを製造し、1911年にはVABISとの合併を経てスウェーデン初の国産バスを製造しました。

1920年代にはストックホルム・エンスキルダ銀行が資本参加し、1927年には生産拠点をセーデルテリエに集約、マルメ工場は閉鎖されました。1939年には乗用車生産から撤退し、第二次世界大戦中は軍需工場として戦車も生産しました。

終戦後、1948年からはフォルクスワーゲンのスウェーデン輸入代理店となり、170万台以上を販売しましたが、2002年に契約を終了しました。1953年にはアメリカのマック・トラックスとの合弁で路線バスの生産を開始、1957年にはブラジルでの現地生産も開始しました。

1960年代にはスウェーデン軍への納入やキャブオーバートラックの生産を開始し、1969年以降はサーブとの合併でSaab-Scania ABとなりました。1995年にSAABと分離し現在の形になりましたが、現在でも企業ロゴには共通点が見られます。

1970年代には低騒音バスやV型8気筒エンジン搭載のトラックを発売、海外展開も加速しました。1980年代にはノルウェー軍への納入や連節バスの販売を開始し、1991年には創業100周年を迎えました。

1990年代以降は、1995年に「スカニア・4シリーズ」を発表し、翌年の欧州最優秀国際トラック賞を受賞。1999年にはボルボによる買収案がEUに承認されず、日野自動車との資本提携案も実現しませんでした。

2000年代に入ると、生産100万台を達成し、バス製造子会社を設立。2006年には4シリーズのマイナーチェンジを実施。2007年にはフォルクスワーゲングループ傘下のMANによる買収提案がありましたが、最終的にはフォルクスワーゲンがスカニアを子会社化しました。

2010年代には、全車型のフルモデルチェンジを行い、フラットフロアを採用した最上級グレードSシリーズを追加。2017年にはSシリーズが「インターナショナル・トラック・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。2018年には、フォルクスワーゲングループの商用車部門がトレイトングループとなり、スカニアはトレイトンの子会社となりました。また、2019年にはR450が3年連続でグリーントラック賞を受賞しています。

日本におけるスカニア

日本では、2002年に日野自動車と業務提携し、スカニア製トラクターをベースにした「日野スカニア」を販売しました。2007年からは韓国で日野の中型トラックを販売するなど、アジア・南米市場でも相互の販売網を活用しましたが、2011年に提携は解消されました。しかし、2018年にはスカニアの親会社であるトレイトンと日野が戦略的提携を結んでいます。

2009年からはスカニアジャパン株式会社を設立し、日本での輸入・販売を開始しました。全国約30ヶ所のサービス拠点を持ち、アフターサービスを提供しています。

日本市場では、当初トラクターが中心でしたが、2015年からはリジッドトラックの販売も開始しました。2017年の東京オートサロンや東京モーターショーでは新型モデルを展示し、注目を集めました。

現行モデル（ネクストジェネレーションスカニア）では、平成28年排出ガス規制に対応したモデルを導入しており、12.7リットルの直列6気筒エンジンや、9.3リットルの直列5気筒エンジン、16.4リットルのV型8気筒エンジンをラインナップに揃えています。

特筆すべきは、宇部興産が導入した専用のロードトレイン向けトラクターや、名古屋市消防局に納入されたはしご車です。

バスに関しては、過去にZIPANG-JJが導入を試みましたが頓挫。その後、新潟市のBRT構想で連節バスが導入され、福岡市や京都府精華町でも同様の車両が運行を開始しました。

さらに、2階建てバス「アストロメガ」は、日本で唯一販売されている2階建てバスとして、観光バスや高速路線バスとして各社に導入されています。また、東京都交通局（都営バス）は、日本初のフルフラットバスを導入しました。

スカニアは、バスのシャーシだけでなくボディも自社生産していますが、日本向けにはバンホールまたはボルグレン製のボディを架装したモデルを導入しています。

車種一覧

トラック

スカニア・Pシリーズ - ショートキャブ
スカニア・Gシリーズ - ミドルキャブ
スカニア・Rシリーズ - ロングキャブ（トラクターヘッド）
スカニア・Sシリーズ - ハイキャブ（トラクターヘッド）

バス

スカニア・Fシリーズ
スカニア・Kシリーズ
スカニア・Nシリーズ
スカニア・オムニリンク
スカニア・オムニシティ
スカニア・オムニエクスプレス
スカニア・シティワイド
スカニア・ツーリング - 中国の海格客車との共同開発