キア・スターマー

サー・キア・ロドニー・スターマーのプロフィール

サー・キア・ロドニー・スターマー（英: Sir Keir Rodney Starmer、KCB、1962年9月2日生まれ）は、イギリスの著名な政治家および弁護士であり、2024年7月から第80代首相を努めている。また、第22代労働党党首でもある。

来歴

生まれと学生時代

スターマーはイギリスのサリー州オクステッドで、看護師の母ジョゼフィン（旧姓：ベイカー）と工具製作者の父ロドニーの間に生まれた。家庭は一般的なもので、両親は労働党の忠実な支持者だったと言われている。彼の名前の「キア」は、労働党の創設者の一人であるケア・ハーディに由来している。母ジョゼフィンは難病に悩まされ、頻繁に病院に行く必要があった。若いスターマーは母親の病気を通じてNHS（国民保健サービス）への強い感謝を抱くようになり、彼女の勇気に感銘を受けたと述べている。スターマーは母が自らが国民議会に当選する直前に亡くなったと振り返る。

幼少期、スターマーは公立のライゲート・グラマー・スクールに通ったが、その後私立校となり、地元の行政機関が学費を負担することとなった。彼はリーズ大学に進み、1985年に法学士の学位を取得し、大学では労働党に参加して活発に活動していた。1986年にはオックスフォード大学の大学院で民法学士の修士課程を修了した。

弁護士としてのキャリア

この後、スターマーは1987年に人権法を専門とする法廷弁護士としてのキャリアを開始し、カリブ海やアフリカの死刑囚の弁護に従事した。そして1990年代後半には、環境保護を訴える活動家たちを無償で支援することもあった。2008年には、イングランド及びウェールズ検察局長に任命され、多くの重要な議会の不正経理問題を解決したことで評価され、ナイトの爵位を授けられた。スターマーは2015年に議会議員に当選し、ジェレミー・コービンの影の内閣に加わり、EU離脱政策を担当。彼は親EUの姿勢を持っていた。

党首としての活動

2019年の総選挙で労働党が苦境に立たされた際、スターマーは次の党首選に立候補し、コービン時代の重要政策を引き継ぐと同時に、産業政策の中心に再国有化などの方針を掲げて党首に選出された。就任後はエド・ミリバンドを影のエネルギー・気候大臣、レイチェル・リーヴスを影の財務大臣に任命し、COVID-19パンデミックの中で保守党政権との協力を表明。

2021年5月にハートリプールの補選での敗北を受け、彼は自身の方針を転換。大学の無償化や国有化政策の多くを破棄するに至った。この動きは党内の左派から裏切りと見なされた一方、ブレア元首相からは評価を得た。

スターマーは2024年に再選を果たし、労働党としては14年ぶりに政権を奪回。バッキンガム宮殿においてチャールズ国王に拝謁し、正式に首相に就任した。

政策と外交方針

スターマーは自らを「社会主義者」と称することがあるが、金融業界との協力を重視し、トニー・ブレアの中道路線に回帰しようとしている。彼は公共機関の改革や貴族院の廃止などを公約し、国民健康サービスへの投資を支持。

外交面では、イギリスの核兵器維持を支持しながら、パレスチナの国家承認や人権侵害に対する制裁を求めている。また、ロシアのウクライナ侵攻に際しては、NATOとの連携を強調し、国際法を尊重するよう求めている。

個人の背景

スターマーは堅実な姿勢で知られる一方、特に派手さがないために「退屈」と評されることもある。しかし、その信頼性によって多くの国民から支持を得ている。家族はユダヤ系で、妻は国民保健サービスで働く作業療法士のヴィクトリア・アレクサンダー。2人の子供を育てるスターマーは、家族の食生活についても慎重な方針を持つ。サッカー選手としてもの活動があり、アーセナルFCのサポーターでもある。

結論

スターマーのキャリアは、イギリスの政治における重要な転換点を迎えている。彼は信頼と改革をキーワードに、労働党とイギリスの未来を形作っている。また、彼の背後には個人としての生活や信念も強く影響していると言える。

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