キイロスズメ

キイロスズメ

キイロスズメ（学名：Theretra nessus）は、スズメガ科に属する比較的大型のガです。その美しい色彩と独特の模様で、多くの人々を魅了します。日本では、本州、四国、九州、沖縄、小笠原諸島に分布しており、海外では朝鮮半島、中国、インド、オーストラリアなど、広範囲に生息しています。しかし、近年、地域によっては個体数が減少しており、宮城県では準絶滅危惧種に指定されています。

形態

成虫の開張は50mmから120mmに達し、比較的大きなガと言えます。前翅や腹部の背面は、緑色を帯びている個体が多く見られます。前翅の先端から後縁にかけて広がる不明瞭な淡色の帯の中には、2本の細い黒い筋が走っています。また、腹部の両側は鮮やかなオレンジ色をしており、これがキイロスズメの名前の由来となっています。

幼虫は、体長が90mmから100mm程度まで成長します。幼虫には、緑色型と黄～褐色型の2つのタイプが存在します。第1腹節には淡黄色の眼状紋があり、第2腹節には小さい白い紋が並んでいます。終齢幼虫の尾角は短く、黄色をしています。

生態

成虫は、5月から10月にかけて出現します。夜行性であり、灯火に誘引されることもあります。

幼虫は、ヤマノイモ、ナガイモ、オニドコロなどのヤマノイモ科の植物の葉を食草としています。これらの植物が豊富に生えている場所では、キイロスズメの幼虫を見つけやすいでしょう。

近縁種

キイロスズメには、いくつかの近縁種が存在します。これらの種は、外見がよく似ていますが、腹部の模様などに違いがあります。

コスズメ：成虫は腹部背面に、不明瞭な2本の黄白色の縦筋を持ちます。
セスジスズメ：成虫は腹部背面に、明瞭な2本の黄白色の縦筋を持ちます。
イッポンセスジスズメ：成虫は腹部背面に、明瞭な1本の黄白色の縦筋を持ちます。

これらの種を見分ける際には、腹部の模様を注意深く観察することが重要です。

分布

キイロスズメは、日本国内では本州、四国、九州、沖縄、小笠原諸島に分布しています。国外では、朝鮮半島、中国、インドからオーストラリアにかけて広く分布しています。

脚注

ウィキメディア・コモンズには、キイロスズメに関するメディアがあります。
* ウィキスピーシーズには、キイロスズメに関する情報があります。

キイロスズメは、その美しい外見と生態から、多くの人々に親しまれています。しかし、生息地の破壊や農薬の使用などにより、個体数が減少している地域もあります。キイロスズメの保護のためには、生息環境の保全や農薬の使用削減などの対策が必要です。

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