キクセラ目

キックセラ目について

キックセラ目（Kickxellales）は、特異な形状を持つカビの一群で、キックセラ（Kickxella）やブラシカビ（Coemansia）を代表とし、さまざまな類似菌を含んでいます。この系統は独特の姿をしており、高等植物に似た複雑な形状を示すものもいます。かつては接合菌門に分類されていましたが、現在は独立してキックセラ亜門に位置づけられています。

特徴

キックセラ目に属する菌類は、発達した菌糸体から成り立っており、菌糸は規則的に隔壁を持ちます。この隔壁の中央にはプラグ状の構造が存在し、ほとんどの種は土壌に生息する腐生菌です。また、糞から見つかるものや、一部はキノコに寄生することもあります。

無性生殖

キックセラ目の無性生殖は、主に分生子状の胞子によって行われます。胞子は出芽する形で形成され、通常、胞子形成細胞は独立した細胞として芽生えます。この細胞は紡錘形をしており、一般に「偽フィアライド（シュードフィアライド）」と呼ばれています。また、胞子形成菌糸の側枝には「スポロクラディア」と呼ばれる特定の構造が見られます。スポロクラディアは、胞子形成部に続く柄があり、胞子を生じるために特化した部分です。これにより、胞子形成部はしばしばブラシのような形状となります。

有性生殖

有性生殖では、菌糸が接合し、接合胞子嚢を形成します。この接合胞子嚢は通常球形で、壁は厚くない透明な構造をしています。接合菌類に見られるような、菌糸が膨らんで配偶子嚢となる現象は観察されていません。

研究史

キックセラ目に属する菌類は、19世紀後半に発見され、キックセラやブラシカビ、Martensellaなどが最初に記載されました。当初は接合菌としての性質を持ちながら、胞子形成や菌糸の構造が不完全菌類的であるため、長い間分類に関する議論が続きました。後にLinderの研究によって接合胞子嚢の形成が確認され、この群は接合菌として認識されることとなりました。

近年、栗原祐子氏によっても Kikxellalesの研究が進められ、新たな属や種の追加が行われています。

分類

キックセラ目は、1980年代以降、独立した目として認識されるようになりました。近縁的なものとしては、ディマルガリス目やハルペラ目が存在し、これらの分子系統のデータもキックセラ目との類似性を示唆しています。

現時点で知られる主な属には、SpiromycesやRamicandelaber、Linderina、Kickxellaなどがあり、これらは主に一種から二種しか含まれていないのが特徴です。さらに、R. K.ベンジャミンによって新たな属が追加され、wikiに範疇することを確認するための研究が続けられています。

キックセラ目は、数多くの環境で重要な役割を果たしており、今後の研究によってさらに多くの未発見の種が存在することが期待されています。

もう一度検索