キクムグラ

キクムグラ（菊葎）

キクムグラ（学名：Galium kikumugura）は、アカネ科ヤエムグラ属に分類される多年草です。日本固有種であり、山地の林縁などで見られます。

特徴

形態: 茎は細く、下部は地面を這い、斜上して20-40cmほどの高さになります。茎には4つの稜があり、無毛です。
葉: 葉は通常4枚が輪生し、楕円形または狭倒卵形をしています。葉の縁には上向きの剛毛が生えています。輪生する葉のうち2枚は本来の葉、残りの2枚は托葉です。
花: 花期は5-6月で、枝先や葉腋から花序を出し、1-3個の白色の小さな花を咲かせます。花柄は細く、基部には披針形の苞葉があります。
果実: 果実は2つの分果からなり、表面には鉤状の短毛が密生しています。

分布と生育環境

キクムグラは日本固有種であり、北海道、本州、四国、九州に分布しています。山地の林縁などのやや湿った場所に生育します。

名前の由来

和名「キクムグラ」は、「菊葎」と書き、葉の様子が菊に似ていることに由来すると言われています。「ムグラ」は、草むらや藪を意味します。

種小名の kikumugura は、和名に由来します。学名の Galium brachypodion Maxim. (1874) は、別種との重複が判明したため、大井次三郎によって Galium kikumugura Ohwi (1937) に改名されました。

ギャラリー

画像1: キクムグラの全体像。特徴的な葉の形がよくわかる。

画像2: キクムグラの花のアップ。小さく可憐な白い花。

画像3: キクムグラの生育環境。山地の林縁に自生する様子。

キクムグラと類似種

キクムグラは、同じヤエムグラ属の植物とよく似ています。見分けるポイントとしては、葉の形や大きさ、毛の有無、花の咲く時期などが挙げられます。注意深く観察することで、キクムグラを特定することができます。

参考文献

高橋勝雄『山溪名前図鑑 野草の名前 春』、2002年、山と溪谷社
加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花（増補改訂新版）』、2013年、山と溪谷社
大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 4』、2017年、平凡社
牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名－学名インデックス」（YList）
* Galium kikumugura Ohwi, (1937), Acta Phytotaxonomica et Geobotanica『植物分類及植物地理』, Vol.6, No.3, p.149,152, (1937).

キクムグラは、ひっそりと咲く小さな花ですが、その可憐な姿は見る人の心を癒してくれます。山を訪れた際には、ぜひ探してみてください。

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