キッチンが走る!

キッチンが走る！：地域と食文化を繋ぐ旅番組

2010年10月1日から2017年3月27日まで、NHK総合テレビで放送された「キッチンが走る！」は、料理と旅を融合させた人気番組でした。関東・甲信越地方を舞台に、俳優の杉浦太陽と毎回異なるゲストの料理人が、キッチンワゴンを牽引役として旅をしながら、地元の食材を調達し、独創的な料理を創作する様子が描かれていました。

番組のコンセプトは「作って・食べて・旅をして」。単なる料理番組ではなく、地域の人々との交流や、食材の背景にある歴史や文化にも焦点を当てており、視聴者にとって深く魅力的な内容となっていました。番組では、料理人が地元の住民や生産者と触れ合い、食材への愛情や土地への思い入れを丁寧に紹介していました。出来上がった料理は、地元の人々と共に味わうお披露目会で振る舞われ、番組全体に温かい一体感が漂っていました。

ナレーションは、主に高橋克実が担当。番組開始当初から安定した語り口で番組を彩り、視聴者の共感を呼びました。また、moumoonの『One Step』がテーマ曲として使用され、食材を分けてもらうシーンでは井上陽水奥田民生の『ありがとう』が使用されるなど、音楽も番組の雰囲気を盛り上げていました。

番組は関東・甲信越地方向けに放送されていましたが、全国放送のスペシャル版や、NHKワールド・プレミアムでの放送も行われていました。また、『Go,Kitchen,Go』というタイトルで英語字幕版がNHKワールドTVでも放送され、海外への発信にも力を入れていました。さらに、兄弟番組として『ぐるっと食の旅 キッチンがゆく』がBSプレミアムでも放送されていました。

放送時間や再放送の頻度、放送地域は年度によって変更がありました。2011年の東日本大震災の影響で、一時的に放送スケジュールが変更されたこともありました。また、地域情報番組枠の都合上、甲信越地方や茨城県では、地域別の番組が放送される際に「キッチンが走る！」が休止となることもありました。

レギュラー放送は2016年2月12日に終了しましたが、その後も不定期でスペシャル番組が放送されました。不定期放送時代には、八嶋智人がナレーションを担当した回や、芸能人が旅に同行する回など、バラエティに富んだ内容が展開されました。

2017年3月27日、約6年間にわたる放送に幕を閉じました。最終回スペシャルでは、九州・天草を舞台に、これまでの放送を振り返る内容となっていました。

「キッチンが走る！」は、単なる料理番組の枠を超え、地域文化や人々の繋がりを大切にした番組でした。その温かい雰囲気と、こだわりの料理の数々は、多くの視聴者の心を掴み、長く愛される番組となりました。番組終了後も、その魅力は多くの人の記憶に刻まれていることでしょう。

主なスタッフ

ナレーション：高橋克実、八嶋智人、首藤奈知子
ディレクター：岡真夕

受賞歴

第20回スポニチ文化芸術大賞 優秀賞 (2012年)
ギャラクシー賞 月間賞 (2013年)
* 第22回橋田賞 (2014年)

書籍

番組を題材とした料理本も複数出版されており、番組で紹介されたレシピを家庭でも楽しめるようになっています。

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