キツツキ科

キツツキ科 (Picidae)

キツツキ科は、鳥綱キツツキ目に分類される鳥類のグループです。世界中に約200種が生息しており、その多くは森林や草原に生息しています。

形態

キツツキ科の鳥類は、いくつかの共通した特徴を持っています。

嘴: 非常に硬く、先端が尖った嘴を持ちます。この嘴は、木を叩いて穴を開けるのに適した構造をしています。
尾羽: 尾羽の羽軸が丈夫に発達しており、垂直面での静止や木登りを補助する役割を果たします。
足: 第1趾と第4趾が後方、第2趾と第3趾が前方を向く対趾足です。これにより、木の幹にしっかりと掴まることができます。
爪: 趾には湾曲した鋭い爪が生えており、木を登る際に役立ちます。

分類

キツツキ科は、以下の属に分類されます。

エビチャゲラ属 Blythipicus
ハシジロキツツキ属 Campephilus
アフリカアオゲラ属 Campethera
テンニョゲラ属 Celeus
Chloropicus
コガネゲラ属 Chrysocolaptes
Chrysophlegma
ハシボソキツツキ属 Colaptes
アカゲラ属 Dendrocopos
Dendrocoptes
アフリカコゲラ属 Dendropicos
Dinopium
クマゲラ属 Dryocopus
コアカゲラ属 Dryobates
タケゲラ属 Gecinulus
イワキツツキ属 Geocolaptes
カンムリコゲラ属 Hemicircus
アリスイ属 Jynx
Leiopicus
Leuconotopicus
カレハゲラ属 Meiglyptes
ズアカキツツキ属 Melanerpes
Micropternus
ボウシゲラ属 Mulleripicus
ヒスパニオラヒメキツツキ属 Nesoctites
Pardipicus
ミユビゲラ属 Picoides
モリゲラ属 Piculus
ヒメキツツキ属 Picumnus
アオゲラ属 Picus
アカハラコガネゲラ属 Reinwardtipicus
Veniliornis
ミツユビコゲラ属 Sasia
シルスイキツツキ属 Sphyrapicus
キューバアオゲラ属 Xiphidiopicus
Yungipicus

生態

キツツキ科の鳥類は、主に以下の様な生態を持っています。

食性: 主に昆虫を捕食しますが、果実や鳥の卵、雛などを食べる種もいます。舌を伸ばして木の割れ目にいる獲物を捕食します。一部の種は、飛翔する昆虫も捕食します。
採餌行動: 木を叩いて穴を開け、木の内部にいる昆虫を探し出して食べます。この採餌行動は、1秒間に20回もの速さで行われることがあります。また、木の表面を軽く叩き、音の変化で虫が穿孔した空洞を探し当てるとも言われています。
繁殖: 繁殖形態は卵生です。樹洞に巣を作り、雌雄交代で抱卵・育雛を行います。樹洞は、自分で木に穴を掘って作ることも、既存の樹洞を利用することもあります。
生活: 多くの種は渡りをせず、一定の地域に縄張りを形成し、周年生息します。

人間との関係

キツツキ科の鳥類は、昔から人々に身近な存在でした。日本では、「ケラ」という呼び名で親しまれてきました。また、以下の様な俗信や文化的な要素があります。

俗信: 「ケラが頭（上）で鳴くと天気が悪くなる」とする俗信が各地にあります。また、キツツキの黒い粉が薬になるとする俗信もあります。
文化: 近世期の軍記物である『甲陽軍鑑』には、川中島の戦いで武田勢が上杉勢を動かすために用いた「キツツキ戦法」という戦法が記されています。
益鳥としての側面: キツツキは、マツ材線虫病を媒介するマツノマダラカミキリなどの害虫を捕食するため、林業における益鳥として認識されています。また、病木や枯木の存在を知らせる役割も果たします。

出典

黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科8 鳥II』、平凡社、1986年、148-153頁。

関連項目

鳥類
キツツキ目

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