コゲラ

コゲラ (小啄木鳥)

コゲラ（学名：Dendrocopos kizuki または Yungipicus kizuki）は、キツツキ目キツツキ科に分類される鳥類の一種で、英名では “Japanese Pygmy Woodpecker” と呼ばれています。この名前が示すように、日本に生息するキツツキの中では最も小さい種類です。

形態

コゲラの全長は13～15cmで、スズメとほぼ同じ大きさです。翼を広げたときの長さは約27cm、体重は18～26gです。日本では最小のキツツキであり、オスよりもメスの方がわずかに大きい傾向があります。羽の色は灰褐色と白のまだら模様で、分布地域が南になるほど色が濃くなる傾向があります。オスとメスの外見上の違いは、オスの後頭部にある赤い斑点ですが、野外で識別するのは難しいことが多いです。足には、前方に2本、後方に2本の指があります。

生態

コゲラは、天然林から雑木林、都市公園の樹木など、木立のある場所であればどこでも見られます。元々は平地から山地の森林に生息する鳥でしたが、近年では都市近郊にも定着し、街路樹や庭木、公園の樹木でもよく見かけるようになりました。1980年代以降、東京などの都市部でも繁殖が確認されています。

コゲラはつがいや家族で行動することが多く、「ギー、ギー」という鳴き声で互いの存在を確認します。縄張りを主張したり、遠くにいる個体に自分の位置を知らせる際、また巣立ったヒナが親鳥に餌をねだるときには、「キッキッキ」という強い声を出します。また、嘴で木を連続して叩いて音を出すドラミングも行いますが、その音は他の大型のキツツキに比べて小さく短いことが多いです。

小さい体ながらも、約20ヘクタールもの広い縄張りを持っており、一度繁殖を始めると同じ場所に定住することが多いです。つがいの絆も強く、片方が死ぬまで続くことが多いようです。単独またはつがいでいる場合もありますが、シジュウカラなど他の種類の鳥と混群を作ることもあります。巣は枯れ木や生きた木の枯れ枝に穴を掘って作り、毎年新しい巣穴を使用します。

食性は雑食で、主に昆虫などの節足動物を捕食しますが、木の実を食べることもあります。樹皮にしっかりとしがみつき、縦横に細かく移動しながら、表面からつまみ上げたり、小さな穴を開けて長い舌を使い、隙間や昆虫の掘った穴に差し入れて捕食します。

分布

コゲラは、ロシア南東部、樺太、朝鮮半島北部、中国東北部、日本列島など、東アジアの限られた地域に分布しています。日本では、佐渡島を除く全国の亜寒帯針葉樹林から亜熱帯照葉樹林まで、留鳥として広く分布しています。基本的には留鳥ですが、寒冷地に生息する個体は冬季に温暖な地域へ移動することがあります。東京都小平市では「市の鳥」に指定されています。

亜種

コゲラには、基亜種のキュウシュウコゲラを含め、以下の9亜種が確認されています。亜種によって体色が異なる場合があります。

1. エゾコゲラ (Dendrocopos kizuki seebohmi): 北海道、南千島に分布。
2. コゲラ (Dendrocopos kizuki nippon): 本州北部・中部、佐渡島で迷鳥として確認。分布域については検討の余地があります。
3. ミヤケコゲラ (Dendrocopos kizuki matsudairai): 伊豆諸島（大島、三宅島、御蔵島、八丈島）、屋久島に分布。分布域については検討の余地があります。
4. シコクコゲラ (Dendrocopos kizuki shikokuensis): 本州西部および四国に分布。分布域については検討の余地があります。
5. ツシマコゲラ (Dendrocopos kizuki kotataki): 対馬、隠岐諸島に分布。
6. キュウシュウコゲラ (Dendrocopos kizuki kizuki): 九州に分布。
7. アマミコゲラ (Dendrocopos kizuki amamii): 奄美群島固有亜種で、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島に分布。
8. リュウキュウコゲラ (Dendrocopos kizuki nigrescens): 沖縄本島、屋我地島に分布。
9. オリイコゲラ (Dendrocopos kizuki orii): 八重山諸島（西表島）で確認。

近縁種

• - セジロコゲラ (Picoides pubescens)

脚注

参考文献

• - 高木清和『フィールドのための野鳥図鑑-野山の鳥』山と溪谷社、2000年8月。ISBN 4635063313。
• - 大橋弘一『庭で楽しむ野鳥の本』山と溪谷社、2007年11月1日。ISBN 978-4635596190。
• - 中川雄三（監修） 編『ひと目でわかる野鳥』成美堂出版、2010年1月。ISBN 978-4415305325。
• - 柴田佳秀 著、樋口広芳 編『街・野山・水辺で見かける野鳥図鑑』日本文芸社、2019年5月、33頁。ISBN 978-4537216851。

外部リンク

• - 絶滅危惧種情報 アマミコゲラ（環境省生物多様性センター）

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