キツネノボタン

キツネノボタン（狐の牡丹）

キツネノボタン（学名: Ranunculus silerifolius）は、キンポウゲ科キンポウゲ属に分類される多年草です。日本では北海道から九州、国外では朝鮮半島南部にかけて分布し、湿った草地や水田の近くなど、湿り気のある場所を好んで生育します。

地域によっては独特の呼び名があり、実の形から「コンペイトウグサ」、葉の形から「ウマゼリ」などと呼ばれることもあります。

特徴

草丈: 30 - 50cm程度
葉: 根生葉は長い葉柄を持ち、3枚の小葉からなる3出複葉です。小葉は卵形で、2 - 3つに切れ込みが入ります。茎生葉は上に行くほど葉柄が短く、互生します。
花: 春から初夏（5 - 7月頃）にかけて、茎の先に直径1 - 1.5cmほどの光沢のある黄色い花を次々と咲かせます。花弁は5枚です。
果実: 花後に、コンペイトウのような角のある集合果をつけます。果実の突起はそれぞれが実であり、扁平で先端が鈎状に曲がっています。

毒性

キツネノボタンは全草に有毒成分（ラヌンクリン）を含んでいます。葉の汁が皮膚に触れると、水ぶくれや炎症を引き起こすことがあります。誤って摂取すると、口腔内や消化器に炎症を起こし、胃腸がただれて血便が出ることがあります。

山菜採りの際は、特にセリと間違えやすいので注意が必要です。民間療法として皮膚に貼るという利用法もありますが、効果は不明であり、皮膚炎を引き起こす可能性があるため避けるべきです。

近縁種

キツネノボタンの近縁種としては、以下のようなものがあります。

ケキツネノボタン (R. cantoniensis)
コキツネノボタン (R. chinensis)：環境省レッドデータブック絶滅危惧II類(VU)に指定されています。
シマキツネノボタン (R. sieboldii)
トゲミノキツネノボタン (R. muricatus)

参考文献

金田初代、金田洋一郎（写真）『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、186頁。ISBN 978-4-569-79145-6。
渡辺晴二・筏さやか・柳原誠・石崎宏「キツネノボタン (Ranunculus Silerifolius）による接触皮膚炎の2例」、『皮膚』42巻4号、405-409頁、2000年。
八坂書房 編『日本植物方言集成』八坂書房、2001年、170-2頁。ISBN 4-89694-470-4。
林弥栄監修、平野隆久写真 『野に咲く花』 山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、1989年、ISBN 4-635-07001-8

外部リンク

キツネノボタン - ウェイバックマシン（2006年5月16日アーカイブ分）（植物雑学事典）
キツネノボタン（植物図鑑・撮れたてドットコム）

注意： キツネノボタンは有毒植物です。取り扱いには十分注意し、食用にはしないでください。

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