キツリフネ

キツリフネ（黄釣船）

キツリフネ（学名: Impatiens noli-tangere）は、ツリフネソウ科ツリフネソウ属に分類される一年草です。その名は、釣り下がった黄色い花に由来します。カール・フォン・リンネによって1753年に記載されました。

分布

キツリフネは、ユーラシア大陸と北米大陸に広く分布しています。日本国内では、北海道から本州、四国、九州にかけての低山帯から山地にかけて自生し、水辺などのやや湿った薄暗い場所を好みます。同じ場所にツリフネソウが群生していることもよくあります。

特徴

キツリフネは、草丈が40cmから80cm程度に成長します。葉は楕円形または広披針形で、縁には鋸歯があります。ツリフネソウと比較すると、より楕円形に近い形状をしています。

花期は夏から秋にかけてで、山地では8月頃から、低地では9月から10月にかけて開花します。葉の下から細長い花序が伸び、その先に横長の黄色い花が釣り下がるように咲きます。花は花弁状の萼と唇形の花びらを持ち、距（きょ）と呼ばれる細長い管状の構造が特徴的です。この距が長く筒状になっている点が、キツリフネソウの大きな特徴です。

キツリフネソウと見分けるポイントは、黄色い花の色、距の先が巻かずに垂れ下がっている点、そして花が葉の下に咲く点です。

大きく奥行きのある花には、クマバチなどの大型のハナバチや、ツリアブ類などが集まり、蜜を集める様子を観察することができます。

果実は熟すと、ホウセンカのように弾けて種子を遠くに飛ばします。種小名の「noli-tangere」はラテン語で「触るな」という意味で、果実に触れると弾ける性質に由来しています。

種の保全状況評価

キツリフネは、いくつかの都道府県でレッドリストに指定されています。ただし、環境省によるレッドリストの指定はありません。

絶滅危惧I類: 佐賀県、長崎県
危急種: 千葉県

品種

ウスキツリフネ（Impatiens noli-tangere L. f. pallida Hermann.）: 白に微かな黄色を帯びる花を咲かせる品種です。

関連項目

ツリフネソウ

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