キトサップ海軍基地

キトサップ海軍基地

キトサップ海軍基地は、アメリカ合衆国ワシントン州に突き出すキトサップ半島に位置する、アメリカ海軍にとって極めて重要な拠点です。

この基地は、2004年に既存のブレマートン海軍施設とバンゴール海軍潜水艦基地が統合されて誕生しました。その主たる任務は、西ピュージェット水道一帯における海軍艦隊の主要な母港としての役割を果たすこと、そして停泊する水上艦艇や弾道ミサイル潜水艦、その他の原子力潜水艦に対して包括的な運用サービスや支援を提供することにあります。

基地の規模と重要性

キトサップ海軍基地は、全米に展開する海軍基地の中でも3番目に大きい規模を誇ります。その敷地内には、原子力艦艇の整備が可能なアメリカ海軍造船所のうちの一つや、合衆国に二つしか存在しない戦略核兵器施設の一つが所在するなど、戦略的に極めて重要な機能が集約されています。さらに、アメリカ海軍最大の燃料貯蔵施設もこの基地内にあります。海軍北西地区全体を見ても、キトサップ海軍基地は最大の海軍組織であり、ブレマートン、バンゴール、マンチェスター、キーポートに分散する複数の施設群から構成されています。

2005年には、その運用実績と施設の優秀性が認められ、海軍内で最も優れた基地に贈られる卓越した施設に対する最高司令官賞を受賞しています。

歴史的背景

キトサップ海軍基地の設立に先立つ、構成施設であったブレマートン海軍施設とバンゴール海軍潜水艦基地には、それぞれ長い歴史があります。

バンゴール海軍潜水艦基地

バンゴール海軍潜水艦基地の歴史は、第二次世界大戦中の1942年に始まりました。当初はアジア・太平洋戦域へ向けた弾薬船積み施設として建設が進められ、海軍は恒久的な基地を構築するため、バンゴール近郊のフッド運河沿いの広大な土地を約1870万ドルで購入しました。1944年6月に海軍弾薬庫が完成し、翌1945年1月から本格的な運用が開始されました。第二次世界大戦後も、朝鮮戦争やベトナム戦争にかけて、バンゴール別館は艦船への通常兵器の搭載を担当する弾薬庫として重要な役割を担いました。

バンゴール基地の歴史における大きな転換点は1973年に訪れます。海軍は、トライデントSLBMを搭載する新型のオハイオ級原子力潜水艦の最初の戦隊の母港として、このバンゴール基地を選定することを発表しました。1977年2月1日には、トライデント搭載潜水艦基地としての活動が正式に開始されました。現在、キトサップ海軍基地のバンゴール地区には、原子力潜水艦が搭載するトライデント弾道ミサイルの維持・交換部品を提供し、予備の核弾頭を保管する施設である太平洋戦略兵器施設（SWFPAC）が所在しています。

アメリカ海軍にはこうしたトライデント潜水艦基地が二つ存在し、バンゴールは太平洋艦隊における唯一の拠点であり、大西洋艦隊ではキングズベイ海軍潜水艦基地が同様の役割を担っています。

ブレマートン海軍施設

ブレマートン海軍施設は、海軍病院を擁する施設でした。2004年にバンゴール海軍潜水艦基地と共に統合され、現在のキトサップ海軍基地の一部となりました。

基地設立と現代の役割

2004年のブレマートンとバンゴールの統合により、キトサップ海軍基地が正式に設立され、ワシントン州におけるアメリカ海軍の中心拠点としての地位を確立しました。基地は、ここに所在する戦闘司令部や海軍組織、艦船の乗組員、そして多くの民間人雇用者のニーズに応えるため、多様なサービス、プログラム、施設を提供しています。

抗議活動の一例

基地はその性質上、反核運動などの対象となることもあります。2009年11月には、82歳の司祭を含む5名の抗議者が、核弾頭保管施設に隣接する区域に侵入を試みる事件が発生しました。彼らはフェンスを切断して敷地内に入り、横断幕を掲げたり、血を撒いたり、ひまわりの種を蒔いたりして抗議の意思を示し、逮捕されるまで祈りを捧げました。これは、基地が持つ戦略的重要性が社会的な関心を呼ぶ一例です。

キトサップ海軍基地は、その広大な敷地と多様な機能、そして歴史的な背景から、アメリカ海軍の運用にとって不可欠な存在であり続けています。

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