キニン

キニンは、体内で生理活性物質として働くオータコイドの一種であり、特に血管拡張作用を持つことで知られています。ブラジキニンやカリジンなど、複数のポリペプチドの総称として用いられ、これらの物質はカリクレインとともにカリクレイン-キニン系という生理的なシステムを構成しています。

カリクレイン-キニン系は、血圧の調整や炎症反応など、様々な生理機能に関与しています。この系において、キニンは血管を拡張させることで血圧を下げたり、炎症部位への血流を増加させたりする役割を担っています。キニンの前駆体はキニノーゲンと呼ばれ、カリクレインによってキニンへと変換されます。

キニンは、血管拡張作用の他に、腸管や子宮の平滑筋を収縮させる作用も持っています。これらの作用は、キニンが特定の受容体に結合することで引き起こされます。また、キニンは痛みや痒みといった感覚にも関与していると考えられています。

アスピリンは、解熱鎮痛薬として広く用いられていますが、カリクレインを阻害する作用も持っています。このため、アスピリンはキニンの生成を抑制し、炎症反応を抑える効果を発揮します。

植物ホルモンの一種であるサイトカイニンは、かつてキニンと呼ばれていました。しかし、動物由来のキニンとの混同を避けるため、名称が変更されました。

キニンは、生体内で多様な生理作用を持つ重要な物質であり、その作用機序や生理的な意義について、現在も盛んに研究が行われています。

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