キプロス島

キプロス島：地中海に浮かぶ歴史と自然の島

キプロス島は、東地中海に位置する島であり、シリアやアナトリア半[[島]]の沿岸に近接しています。面積は約9,250平方キロメートルで、地中海最大の島であるシチリア島、サルデーニャ島に次ぐ3番目の大きさを誇ります。しかし、キプロス島は地理的にも政治的にも特異な島です。イギリス、キプロス共和国、そして北キプロス・トルコ共和国という3つの異なる主権国家の領土が島内に存在し、世界でもボルネオ[[島]]と並んで、複数の国境が島内に存在する珍しい島の1つとなっています。

キプロス島の地理

キプロス島は、多様な地形を有しています。中央から南西にかけては、標高1,952メートルを誇るオリンポス山を擁するトロードス山脈が連なり、山岳地帯が広がっています。一方、北部にはキレニア山脈（別名ペンタダクテュロス山脈）が海岸線に沿って伸び、その北東部にはカルパス半島が小アジアに向かって細長く突き出しています。カルパス半島の最先端には、アポストロス・アンドレアス岬があります。

山脈に挟まれたメサオリア平野は、東西に広がり、肥沃な農地が広がり、キプロス共和国の首都ニコシアもここに位置しています。ペディエオス川はトロードス山脈から流れ出し、ニコシアを通過した後、東海岸のファマグスタ湾へと注ぎ込みます。南海岸沿岸部には、トロードス山脈の麓に点在する沿岸平野が広がっています。

キプロス島の気候

キプロス島は地中海性気候に属し、暑く乾燥した夏と温暖な冬が特徴です。

キプロス島の歴史

キプロス島には、先史時代から文明が存在していたと考えられています。その戦略的な地理的位置から、地中海貿易の中継地として栄え、ペルシャ帝国、ギリシャ、ローマ帝国など、様々な勢力の支配下に入ってきました。東西ローマ帝国分裂後は東ローマ帝国の一部となりましたが、1191年にはイギリスの獅子心王リチャード1世によって占領され、その後テンプル騎士団に、さらにエルサレム王国のギー・ド・リュジニャンに売却されました。1489年からはヴェネツィア共和国の支配下に入り、16世紀にはオスマン帝国に征服されました。1878年、オスマン帝国がロシアとの戦争に敗れたことを契機に、イギリスの統治下に入り、1925年にはイギリスの直轄植民地となりました。第二次世界大戦後の独立運動の高まりを受け、1960年にキプロス共和国として独立を果たしました。この際に、イギリスはアクロティリとデケリアの2つの軍事基地を保持することとなりました。

1974年、トルコはキプロス島北部のトルコ系住民の保護を名目に軍事介入を行い、北部を占領しました。1983年には、トルコ占領下の北部が北キプロス・トルコ共和国として一方的に独立を宣言し、キプロス共和国とは異なる政治体制を確立しました。現在も国際社会ではキプロス共和国の主権が認められていますが、事実上、キプロス島は南北に分裂した状態が続いており、国連はキプロス共和国南部と北キプロス・トルコ共和国の間にグリーンラインと呼ばれる緩衝地帯を設定しています。

キプロス島の産業と環境

キプロス島の土地利用は、耕地が約12%、森林が約13%、その他が約70%となっています。灌漑面積は約390平方キロメートルです。

キプロス島は、水資源の確保が大きな課題となっています。自然の貯水池が少なく、降雨量も季節変動が大きいため、水不足に悩まされています。また、海水が地下水に混ざり込むことによる塩分濃度の上昇や、汚水やごみによる水質汚染、海岸線の侵食なども深刻な環境問題となっています。

まとめ

キプロス島は、複雑な歴史と地理、そして現在進行中の政治問題を抱えるユニークな島です。地中海貿易の中継地として栄え、様々な文化が交差してきた歴史と、美しい自然、そして現代社会が抱える環境問題など、キプロス島は多様な魅力と課題を併せ持つ、魅力的な島と言えるでしょう。

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