キャピトル東急ホテル

キャピトル東急ホテル：輝ける歴史と伝統を受け継ぐホテル

東京・永田町に位置していたキャピトル東急ホテルは、1963年の開業以来、半世紀以上にわたって多くの人々に愛されてきた高級ホテルです。東京ヒルトンホテルとして開業した当初から、その歴史は数々の著名人との関わりによって彩られています。中でも、ザ・ビートルズの来日公演時の宿泊は、ホテルを世界的に知らしめるきっかけとなりました。

国際的なホテルとしての始まり

1958年、ヒルトンホテルズ・インターナショナルと東京急行電鉄の合弁会社として設立された東京ヒルトンホテルは、日本初の外資系ホテルとして開業しました。約450室を擁する地上10階建ての建物は、古くから「星が丘」と呼ばれていた小高い丘に建てられました。この地にはかつて、岩倉具視の援助で建てられた料亭「星岡茶寮」があり、関東大震災後には北大路魯山人が経営に携わっていた歴史も持ち合わせています。

著名人を魅了した空間

東京ヒルトンホテルは、首相官邸や国会議事堂に隣接し、赤坂の繁華街にも近いという恵まれた立地条件から、多くの外国要人やスターが宿泊しました。ビートルズが宿泊したプレジデンシャル・スイートは、ホテルの象徴的な存在となりました。その他にも、カトリーヌ・ドヌーヴ、クリフ・リチャード、ザ・ウォーカー・ブラザース、ティナ・ターナー、ツイッギー、ソフィア・ローレン、ショーン・コネリー、エリック・クラプトン、フリオ・イグレシアス、マイケル・ジャクソン、デヴィッド・ボウイ、ウラディミール・ホロヴィッツ、ビル・クリントン元大統領など、数多くの著名人がこのホテルに足を運びました。特に、デヴィッド・ボウイが他のホテルからわざわざキャピトル東急ホテルへ宿泊先を変更したエピソードは有名です。

激動の時代とホテル名の変遷

開業後、東急とヒルトンとの間で運営をめぐる争いが発生し、「東京ヒルトン事件」と呼ばれる騒動となりました。一時的にホテル名が変更される事態も起こりましたが、その後は東急グループが運営を引き継ぎ、1983年末に東京ヒルトンホテルは閉館。翌年から「キャピトル東急ホテル」として新たなスタートを切りました。ヒルトン側はその後、新宿に新たなホテルを開業しました。従業員はそれぞれのホテルに転籍するか、キャピトル東急ホテルに残留するかを選択することとなりました。

洗練された建築と内装

キャピトル東急ホテルは、吉田五十八、渡辺力、剣持勇といった日本のトップクラスの建築家やデザイナーによって設計・デザインされました。和洋折衷の独特な空間は、ホテルオークラに次ぐ戦後日本を代表するホテル建築として高く評価されています。T字型の建物構造、障子をあしらった非常口、蒔絵が施された柱など、細部に至るまでこだわりが感じられる建築となっています。

名物料理と記憶に残るレストラン

ホテル内には、「星ヶ岡」など、数々のレストランが存在していました。中でも、「オリガミ」のパーコー麺やアップルパンケーキ、「星ヶ岡」の中華料理、そしてガーデンカフェの落ち着いた雰囲気は、国内外の著名人に愛されました。多くの著名人がこれらのレストランで食事を楽しんだことは、ホテルの歴史に刻まれています。これらのレストランの一部は、ホテル閉館後も別の場所で営業を続け、キャピトル東急ホテルの味を受け継いでいます。

再開発と新たな始まり

老朽化と再開発のため、キャピトル東急ホテルは2006年末に営業を終了しました。2010年には、同地に地上29階建ての高層複合ビル「東急キャピトルタワー」が完成し、「ザ・キャピトルホテル 東急」が開業しました。新ホテルは、旧ホテルの歴史と伝統を受け継ぎながら、現代的なスタイルを取り入れた新しいホテルとして生まれ変わっています。

キャピトル東急ホテルの遺産

キャピトル東急ホテルは、単なる宿泊施設ではなく、日本の高度経済成長期から現代まで、時代の変遷を象徴する存在でした。多くの著名人との関わり、洗練された建築、そして名物料理の数々は、人々の記憶に深く刻まれています。その歴史と伝統は、現在もザ・キャピトルホテル東急で受け継がれ、未来へと繋がってゆくことでしょう。

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