キャリントン男爵

キャリントン男爵位：栄光と断絶の歴史

イギリス貴族の爵位の一つ、キャリントン男爵位。その歴史は、17世紀半ばに遡ります。しかし、その歴史は一度途絶え、その後新たな始まりを迎え、現代まで続いています。複雑な歴史を紐解きながら、キャリントン男爵位について深く探っていきましょう。

第1期のキャリントン男爵位

1643年、チャールズ・スミスに「ウォリック州におけるウォートンのキャリントン男爵」の称号が与えられました。これは、アイルランド貴族爵位「コノート県におけるバーフォードのキャリントン子爵」と同時に授けられたものでした。しかし、この栄光は長くは続きませんでした。3代目のキャリントン子爵・男爵が1706年に後継者なく死去したため、第1期のキャリントン男爵位は消滅したのです。

第2期のキャリントン男爵位：政治家一族の興隆

それから約100年後の1796年、庶民院議員ロバート・スミスが「ブルコット・ロッジのキャリントン男爵」に叙せられ、第2期のキャリントン男爵位の幕が開けました。翌年には「ノッティンガム州におけるアプトンのキャリントン男爵」の称号も加えられました。

この第2期のキャリントン男爵位は、政治家としての活躍が目立ちます。2代目のロバートは、姓をスミスからキャリントンに変更。3代目のロバート・ウィン＝キャリントンは自由党の政治家として、ニューサウスウェールズ州総督や閣僚職を歴任し、さらに「ウェンドーヴァー子爵」と「キャリントン伯爵」、「リンカンシャー侯爵」にまで昇進しました。しかし、一人息子を亡くしたため、これらの高位爵位は彼と共に消滅しました。

キャリントン男爵位と保守党

リンカンシャー侯爵位が消滅した後、キャリントン男爵位は3代目の弟、ルパートに継承されました。そして、6代目のピーター・キャリントンは、保守党の政治家として活躍。サッチャー内閣では外務英連邦大臣を務め、世襲貴族として最後の外務大臣となりました。

現当主と未来

現在の当主は、ピーターの息子である7代キャリントン男爵ルパート・キャリントンです。彼は2022年から大侍従卿を務めており、キャリントン家の伝統は現代においても続いています。

まとめ

キャリントン男爵位は、17世紀からの歴史を持つ由緒ある爵位です。一度は途絶えたものの、新たな始まりを告げ、政治家として数々の功績を残した一族の歴史と共に、現在まで続いています。第1期と第2期という異なる歴史、そして爵位継承におけるドラマ、更にはイギリス政治における影響力まで、キャリントン男爵位は、イギリス貴族史における興味深い一例と言えるでしょう。現当主である7代キャリントン男爵の今後の活躍にも注目が集まります。

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