キャロットタワー

キャロットタワー：三軒茶屋のランドマーク

キャロットタワーは、東京都世田谷区太子堂に位置する、商業施設、ホール、オフィスなどが入る複合ビルです。1996年に三軒茶屋駅周辺の再開発事業によって建設され、東急世田谷線に直結、東急田園都市線三軒茶屋駅とも地下通路で接続されています。周囲に中低層の建物が多い中、レンガ調の印象的な外観は、この地域のランドマークとして広く認知されています。

歴史と背景

三軒茶屋という地名は、江戸時代に大山参詣の道中に三軒の茶屋があったことに由来し、街道の分岐点として古くから栄えてきました。関東大震災後には下町からの移住者が増え、戦後の都市化の中で独自の街並みが形成されました。しかし、人口増加に都市機能が追いつかず、防災上の問題も抱えていたことから、生活拠点の整備が急務となりました。

そこで世田谷区は、東京急行電鉄（現・東急）などの地権者と共に「三軒茶屋・太子堂四丁目地区市街地再開発組合」を設立。周辺道路の拡幅、地下道の整備、土地の高度利用を目的とした再開発事業を計画し、その核となる施設としてキャロットタワーが建設されました。

施設構成

キャロットタワーは、地下5階、地上27階の高層棟、劇場が入る中層棟、そして世田谷線三軒茶屋駅と小劇場がある低層棟で構成されています。高層棟と中層棟の間には、ガラス屋根で覆われた5層吹き抜けのアトリウムが設けられ、各施設への回遊動線の中心となっています。このアトリウムは全天候型で、快適な空間を提供しています。

外観デザインは、再開発の記念碑として、建物の床からアトリウムの壁面、そして外壁へと、鮮やかな赤色のレンガが形を変えながら展開しています。この特徴的なデザインは、キャロットタワーの個性を際立たせています。

名称は公募によって決定され、1488通の応募の中から、「発想が豊かで新鮮、ビタミンたっぷりで元気の出る名前は将来の発展にふさわしい」という理由で、区内の中学1年生の作品が採用され、「キャロットタワー」と名付けられました。

毎年10月には、キャロットタワーの施設を利用した「三茶de大道芸」というイベントが開催され、多くの人々で賑わいます。

各フロアの構成

高層棟:
地下1階～地上2階：三軒茶屋とうきゅう（核テナント）
1階：銀行支店
2階：行政窓口（住民票の発行など）
3階～5階：世田谷文化情報センター 生活工房
6階～25階：オフィスフロア
26階：展望レストラン「オークラレストランスカイキャロット」、エフエム世田谷サテライトスタジオ、展望スペース

高層棟には、東急セキュリティ、東急ビルメンテナンス、寛斎スーパースタジオなどが本社を構えています。
中層棟:
上層部：世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアターは、プロセニアム形式とオープン形式の使い分けが可能な舞台を持ち、演劇、舞踊、音楽など様々なジャンルの公演が行われています。客席は3層構造で、約600席収容可能です。ホワイエも特徴的なデザインとなっています。
低層棟:
世田谷線三軒茶屋駅
シアタートラム

テナントの変遷

2017年11月には、地下1階の東急ストアが改装され、セミセルフレジが導入されました。2018年5月には、1階も生活雑貨店などを集めた「キャロットストリートサンチャ」としてリニューアルオープンしました。かつては2階にあったTSUTAYAは2023年に縮小し、代わりにユニクロ三軒茶屋店がオープンしています。カラダファクトリー三軒茶屋キャロットタワー店も2階で営業を続けています。

参考文献

『新建築』新建築社、1997年2月。
「キャロットタワー」『BE建築設備』第48巻第4号、建築設備綜合協会、1997年4月1日、22 - 29頁、NDLJP:3224006/26。

外部リンク

キャロットタワー - 東急ビル運営事業部
世田谷文化生活情報センター「生活工房」
オークラレストランスカイキャロット
三茶de大道芸

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