キャロライン・オブ・ブランズウィック

キャロライン・アメリア・エリザベス・オブ・ブランズウィック＝ウォルフェンビュッテル

キャロライン・アメリア・エリザベス・オブ・ブランズウィック＝ウォルフェンビュッテル（Caroline Amelia Elizabeth of Brunswick-Wolfenbüttel）は、1768年5月17日にドイツのブラウンシュヴァイクで生まれました。彼女はイギリス国王ジョージ4世の王妃となり、国政や家庭でさまざまな波乱を経験しました。

生い立ちと家族

キャロラインの父はブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル公カール・ヴィルヘルム・フェルディナント、母はジョージ3世の姉オーガスタです。両親の関係は良好とはいえず、父は愛人と過ごしていました。キャロラインはガヴァネスから教育を受けましたが、十分とは言えないものでした。

王太子との結婚とその後の生活

1794年にキャロラインは王太子ジョージ（後のジョージ4世）と婚約を結びますが、当時ジョージは40万ポンドもの借金を抱えていました。国王ジョージ3世は、ジョージが正式に結婚しない限り借金の帳消しをしないと切り出し、キャロラインはその結果として選ばれたのです。1795年、ロンドンに到着したキャロラインと初めて顔を合わせたジョージは、彼女の体臭に驚愕したと言われています。本人もジョージの肥満に失望したという報告があります。

結婚式は1795年、セント・ジェームズ宮殿で行われましたが、ジョージは酔った状態で式に臨んだため、まともな儀式とは言えませんでした。結婚後すぐに長女シャーロットが誕生しましたが、二人はすぐに別居し、シャーロットは王室によって育てられました。

政治的な対立と王妃運動

1806年にはキャロラインに不倫の噂が立ち、その影響で彼女は娘との面会を制限されることになります。この状況に対抗する呼びかけが広まり、「キャロライン王妃運動」が起こります。彼女は孤立した境遇を逆手に取り、国民の同情を集めます。1814年からは大陸諸国へ旅行し、エルサレムで聖キャロライン騎士団を設立するなど活動を広げました。

その後、シャーロット王女が結婚し、しかし早々に死去するなどの事態も起こり、キャロラインは悲しみを抱えることになります。

王妃と王の対立

1820年、ジョージは国王としての権力を手に入れると、キャロラインとの離婚を考え始めます。彼は彼女の不貞を立証するための証拠を集め始め、一連の裁判が行われることになりました。国王は様々な手段を講じるも、議会によって離婚承認案は否決され、マスコミもキャロラインを支持する記事を発表しました。

1821年、キャロラインは戴冠式に向けて帰国したものの、王の策略によって出席を拒否されます。国民の目には同情の的として映りましたが、彼女の生活や年金に対しての批判も高まりました。

最期と影響

キャロラインは1821年8月7日にハマースミスで急死します。その死因は謎に包まれており、毒殺の噂も立ちました。彼女の遺言に従い、故国のブラウンシュヴァイクに埋葬されました。死後、彼女に関する日記が世に出て、王室のスキャンダルについての関心が再燃しました。キャロラインの生涯は、王族の中でも特異なケースとして語り継がれています。

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