キャロライン・ノー

キャロライン・ノー (Caroline, No)

ザ・ビーチ・ボーイズが1966年に発表した楽曲「キャロライン・ノー」は、アルバム『ペット・サウンズ』のラストを飾る、物悲しいバラードです。2004年には『ローリング・ストーン』誌の「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」で211位に選ばれるなど、高い評価を受けています。

楽曲解説

リードボーカルはブライアン・ウィルソンが担当。アルバムに先駆け、1966年3月7日にブライアン・ウィルソン名義でソロシングルとしてリリースされました。B面にはアルバム『サマー・デイズ』収録曲「恋の夏（Summer Means New Love）」のインストゥルメンタル版が収録されています。シングルは全米32位を記録しましたが、ブライアン自身は「あまり売れなくて良かった。そのおかげでビーチ・ボーイズが存続した」と語っています。また、彼はこの曲を『ペット・サウンズ』の中で最も気に入っているとも述べています。

作詞を担当したトニー・アッシャーによれば、当初のタイトルは「キャロル・アイ・ノウ（Carol I Know）」でしたが、ブライアンが「キャロライン・ノー」と聞き間違えたことがきっかけで、現在の曲名になったそうです。また、オリジナルバージョンは現在よりもスローテンポでしたが、ブライアンの父、マレー・ウィルソンの提案によりテンポが速められました。オリジナルのテンポは、『ペット・サウンズ・セッションズ』で聴くことができます（モノラルとステレオの2バージョン）。

歌詞の内容は、久しぶりに再会した憧れの女性の変わり果てた姿を嘆くというもの。印象的なパーカッションは、セッションドラマーのハル・ブレインが飲料水の空き缶を叩いて演奏したものです。曲の最後には、ディーゼル列車の通過音と犬の遠吠えが収録されています。これらの効果音は、シングルバージョンには含まれていません。

ミックスについて

デュオフォニック（擬似ステレオ）ミックスでは、列車の通過音が右チャンネルから左チャンネルへと移動するような処理が施されています。1997年発表のステレオバージョンでは、2番のヴァース以降の6弦ベースと金床の音がより鮮明に聴こえるようになり、列車の通過音はモノラルのままとなっています。

ライブ演奏では、ブライアンに代わってカール・ウィルソンがリードボーカルを務めました。

「キャロライン・ノー」は、ブライアン・ウィルソンの音楽的才能と、ビーチ・ボーイズの革新性を象徴する一曲と言えるでしょう。

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