キャンディス・バーゲン

キャンディス・バーゲン：女優と写真家の二つの顔を持つ才能

キャンディス・パトリシア・バーゲン。1946年5月9日、アメリカ合衆国カリフォルニア州ビバリーヒルズに生まれた彼女は、名家の出身である。父は著名な腹話術師のエドガー・バーゲン、母も女優という芸能一家に育つ。しかし、その環境に馴染めなかったバーゲンは14歳でスイスへと留学。その後、ペンシルベニア大学に進学し、美術史と絵画を専攻した。

大学在学中にモデルとして活動していた彼女は、かの有名なシドニー・ルメット監督に見出され、1966年、映画『グループ』で華々しく映画デビューを果たす。その後も様々な作品に出演し、1979年の『結婚ゲーム』ではアカデミー助演女優賞にノミネートされるなど、女優としてのキャリアを着実に築いていった。

しかし、彼女の真のブレイクは、1988年から1998年まで10シーズンにわたって放送されたテレビシリーズ『TVキャスター マーフィー・ブラウン』での主演だったと言えるだろう。この作品は全米で一大センセーションを巻き起こし、バーゲン自身にとっても、それまでの映画女優としての活動とは異なる、大きな成功を収める契機となった。このコメディドラマを通して、これまでクールな印象が強かった彼女の抜群のコメディエンヌとしての才能が開花し、全世界に知らしめられたのだ。エミー賞とゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞するなど、数々の栄誉に輝いたことは、その成功を如実に物語っている。

バーゲンは、スイス留学の経験から、ハリウッド女優としては珍しく、複数の外国語を操る。フランス映画『パリのめぐり逢い』に出演した際、流暢なフランス語を披露し、話題を呼んだ。第40回アカデミー賞授賞式でもその語学力を披露している。

女優としての成功だけでなく、彼女は写真家としても才能を発揮している。ヴォーグ、コスモポリタンなどの著名なファッション誌やライフ誌に作品を発表し、高い評価を得ている。日本においては、ミノルタXDの一眼レフカメラのイメージキャラクターを務め、テレビCMにも出演していた。

私生活では、1981年にフランス人映画監督ルイ・マルと結婚するも、1995年に死別。その後、2000年に再婚している。2006年には脳梗塞で倒れるという困難も経験したが、見事回復した。

キャンディス・バーゲンは、名家出身という恵まれた環境の中で育ちながらも、自立した道を歩み、女優そして写真家として卓越した才能を開花させた稀有な存在と言えるだろう。ハリウッドという華やかな世界で、数々の成功と困難を経験しながらも、常に自身の道を貫いてきた彼女の生き様は、多くの人々にインスピレーションを与え続けている。彼女の多様な才能と、飾らない生き方は、これからも多くの人々を魅了し続けることだろう。

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